「自分の知識不足を痛感しています…。」
実習中に学生さんから幾度となく伝えられる言葉ですが、それでいいんです。
実習は「知識不足」を確認しに行くところだと思ってください。
学校で学んだ知識だけで臨床現場はうまく立ち回れず、うまく立ち回るためには4つの思考サイクルが重要。
- 計画を立てる
- 実行する
- 確認する
- 改善する
これは私たち臨床家も実際に毎日行っている思考過程で、学生もこの思考サイクルを真似すればかなり実習が充実したものになると考えています。
ここでは「知識不足」を嘆くより「成長を促す」ために実習に臨むべき思考のお話をしていきます。
指導者が学生に求めるもの
私たち指導者が学生に求めるのは「知識」や「結果」ではありません。
その考えに至るまでの「過程」を重要視しています。
- 「良くなった結果」より「なぜ良くなったのか?」を考えてほしい
ここが重要です。
私はよく「再現性」と言いますが、良くなった結果を他の患者にも出来ないとこの仕事は務まらないと思うんですよね。
「良くなった結果」を重視すると、その治療を次の患者に生かせません。
でも「なぜ良くなったのか?」を考え、突き詰めていく事で、その治療を次の患者に生かせるようになるんです。
だから私たち同様、学生さんも「毎日の思考サイクル」が非常に重要なんです。
実習前に知っておきたい!充実する4つの思考サイクル

常に考え続ける
実習を充実させるには「考える事」を辞めない事です。
見学するだけならyoutubeでもできます。
実施するだけなら学生同士でもできます。
実習でしかできないことといえば『現場のリアルな変化を自分で考え続けること』だと思うんです。
- こうしたらどうだろう?
- 実際にやってみよう
- どう変化したかな?
- 更にこうしてみよう
この繰り返しで学生は成長していくんです。
- 計画を立てる
- 実行する
- 確認する
- 改善する
この4つの思考サイクルで学生は大きく成長しますし、臨床に近い考え方になっていくんです。
計画を立てる
治療は計画(plan)を立てることから始まります。
担当患者を評価し、その結果から良くしていくために何をすればいいのか?を考え、計画を立てていく作業です。

実際に患者に触るときもそうですが、見学をしている時でも同じ。
- 実際に自分がやるときはこうしよう
- こういう所に注意しよう
というような計画を立てるべきです。
なんとなく見学しているだけでは実行に移せませんから。
実行する
計画(plan)を立てたら、今度は実行(do)していきます。
実際に自分が立てた計画を実行することで患者に『変化』をもたらします。
もしかしたら自分が立てた計画が実行できないかもしれません。
時間内で終わらせることのできない学生も多々いうますが、そんな時でも慌てずに「ここまでしかできませんでした」と、指導者に報告しましょう。
実行=成功ではありません。
失敗しても良いんです。
その結果が、次につながります。
確認する
計画を立て、実行したら最後に確認(check)をしていきます。
- 変化したか?しなかったか?
- 良くなったか?悪くなったか?
- 時間内に出来たか?出来なかったか?
確認は「評価」とも取れます。
患者の評価はもちろん、自分の評価もここに分類されます。
実行した結果、なぜそうなったかを確認する工程です。
改善する
確認(check)した結果いまの治療方法や、やり方に問題がある場合は改善(Action)が必要です。
- 変化したならより良い変化を
- 不変なら変わる工夫を
- 出来なかったことをできるように
この改善(Action)の項目でキミたちはレベルアップしていきます。
教科書に載っていない臨床技術を、自分で切り開いていくのがこの『改善』の項目なんです。
そして、改善した内容を元に、再び計画(plan)を立てていくんです。
この『計画(plan)→実行(do)→確認(check)→改善(Action)』の流れをPDCAサイクルと言います。

PDCAサイクル
PDCAサイクルを常に回していけば実習のメリットは大きいです。
- 常に課題が見つかる
- 常に改善案を検討できる
- 常に成長できる
これは強いですよ!
このPDCAサイクルを回す習慣を、実習前からクセにしておくといいかもしれません。
例えば…
【P】旅行に自動車で行く
【D】渋滞にはまり、時間が無くなった
【C】この時期は車より電車のほうがよさそう
【A】次回は新幹線で旅行に行く
ここでまた【P】に戻って…
【P】旅行に新幹線で行く
【D】チケットがなかなか取れない
【C】…
というように常にPDCAを回していくんです。
実習は『知識』より『思考力』が重要
「知識不足を痛感しました…」というのは一見聞こえの良い反省に見えますが、知識不足は一生改善しません。
なんなら私ですら毎日知識不足を痛感していますからね。
一生勉強と言われる医療業界、知識不足は当たり前なんです。
だからこそ、『思考力』が重要視されます。
- 左片麻痺患者の右大腿骨頸部骨折にはどっちに杖を持たせるの?
- 毎日拒否のある患者にはどう接すればいいの?
- 膝が100度しか曲がらない患者に正座をさせるにはどうしたらいいの?
こういった「教科書に載っていない問題」というのは臨床現場では山のようにあります。
こういった状況に「知識」は不要です。
あなたの「ひらめき」や「アイディア」が重要になってきます。
「PDCA」という思考力を駆使して、常に自分をアップデートし、実習で飛躍的に成長を遂げていきましょう。