MMTは徒手筋力検査法(としゅきんりょくけんさほう)、Manual Muscle Testingといい、徒手によって人体中の主要な筋肉の筋力を判定する検査法です。
臨床実習でほぼ必ず実施しますよね
そして、ROM‐tと並んで学生はかなり緊張する評価の1つです。
実際に私もバイザーに見られながらのMMTやROMはかなり緊張しましたし、学校で友達同士で練習した時とは全く違うんですよね。
とはいえ、学生がMMTを全て完璧にこなすのは不可能なので、そのポイントを絞って「ここだけは注意するように!」という部分をご紹介します。
このポイントさえ押さえていれば、まぁ何とかなりますよ。
もう怒られない!褒められるMMTの抑えておきたいポイント
MMTを実施する前に、まずは起こられないためのポイントを押さえておきましょう。
なんとなくMMTをしていると、すぐにバレます。
MMTを行う前に抑えておきたい6つのポイントがこちら!
- MMTに対する基礎知識があるか?
- MMT実施前に患者に説明できるか?
- 代償動作に注意を払えているか?
- 評価時間を守れているか?
- 患者の全体像を見れているか?
- 患者に負担の少ない手順を踏めているか?
以上の項目は臨床実習で非常に重要です。
簡単に説明していくので、MMT実施前に思い出してみてくださいね。
①MMTに対する基礎知識があるか?
MMTのグレードは0から5の「6段階評価」です。
記載方法は「腸腰筋:5」とかではなく、「股関節屈曲:5」と記載します。
MMTの目的は「筋力低下の程度の判定」「診断の補助」「治療目標の設定」「治療効果の判定」です。
覚えておきましょう。
ちなみに、片麻痺患者でブルンストロームが3以下の患者に対し、MMTは適切ではありません。
共同パターンが出てしまいますから。
その場合は、「粗大動作」として腕が上がるか、足が上がるかを見て、重力に抗することができるなら「上肢挙上可能、MMT3程度」と記載します。
この辺りは、実習担当の指導者と相談してくださいね。
②MMT実施前に患者に説明できるか?
MMT実施前に、患者に説明を行います。
この説明がしっかりできているか、いないかは指導者にとってのチェックポイントになります。
当然、患者は素人なので、分かりやすく説明し、同意を得ます。
どんなことでもそうですが、「資格を持っていない学生に何かされる」というのは怖いもの。
患者は金を払って入院しているので、ある意味「客」です。
これからどんなことをするのか、それをすることでどんなメリット・デメリットがあるのかをしっかりと説明し、同意を得る必要があります。
もちろん、一般の方にも伝わるように難しい医療用語は使わずに説明できるようにしたいですね。
③代償動作に注意を払えているか?
代償動作は、ROM評価と同じくとても重要であり、出現させないように配慮します。
股関節屈曲では、体幹の後傾や側屈が出ますし、股関節外転運動では股関節の外旋が伴います。
これら代償動作に注意を払い、正確な関節運動を起こす、もしくは代償が出たことに気づけるといいですね。
これができると、指導者からも高評価だと思いますよ。
④評価時間を守れているか?
評価時間は指導者から伝えられると思います。
その時間内に実施できるかがポイント。
でも最も重要なのは、時間内にできなくてもそこで一旦切り上げ、報告をすることが必要です。
「まだ全部終わってないので、時間がきたので残りはまた後日評価させてください」と伝えられれば十分。
一番ダメなのは、時計もみずに自分の評価が終わるまで実施してしまう事。
リハビリは時間で動いてますので、与えられた時間は守りましょう。
時間内にできなくてもいいんです。報告さえすれば。
⑤患者の全体像を見れているか?
MMTは筋力のみを評価するわけではありません。
筋力を使うと痛みが出る場合もあります。
患者さんの表情や反応がどんな感じなのか見ていますか?
- 痛くないかな?
- 疲れてないかな?
- 気分は悪くないかな?
これらを観察して、異常が合ったら指導者に報告します。
もちろん、バイタルチェックや疲労具合なども観察しておくといいですね。
⑥患者に負担の少ない手順を踏めているか?
MMTは疲れます。
毎回最大筋力を発揮させられるのですから当然。
よく学校で言われるのが「患者の負担にならないように評価手順を整える」ということ。
まずは背臥位でバーッと評価し、その後側臥位、その後立位と、体位変換が多くならないように配慮しろ、というもの。
まぁこの辺りは当然として、MMTを実施すること自体も疲れることを知っておかなければなりません。
20分の評価時間を与えられたら、その20分全てMMTに当てても患者は大丈夫か?
そんなところに気を配れるといいですね。
普通はずっとMMTやらされたらかなり疲れますよ。
休憩時間も必要ですし、必要な筋力評価を選択するのも重要です。
学生がMMTで怒られるポイント
学生がMMTで怒られてしまうポイントがいくつかあるので、それも覚えておきましょう。
- 抵抗が術創部にかかっている
- 抵抗が弱く、段階を間違えている
- 教科書のやり方に則っていない
- 事前に報告・相談が無い
これらは学生が失敗を犯しやすい項目です。
まずは実施前に指導者に「こんなMMTをします」と報告したほうがいいですね。
いくら学生同士で練習しても実際に患者に行う場面とはかなり違います。
臨床実習は「経験の場」なので、積極的に実行していきましょうね!
まとめ
- MMTに対する基礎知識があるか?
- MMT実施前に患者に説明できるか?
- 代償動作に注意を払えているか?
- 評価時間を守れているか?
- 患者の全体像を見れているか?
- 患者に負担の少ない手順を踏めているか?
以上のことを踏まえて、MMTを実施してみてください。
これが守れている学生は、少なくとも低評価にはならないはず。
ぜひご参考までに!