僕は理学療法士として働いていますが、理学療法士と作業療法士はどっちがいいの?と聞かれると非常に困ってしまいます。
理学療法士もいいのですが、作業療法士のリハビリも魅力的で今後も需要が見込めますし、一概に「こっち!」と言えないのが現状。
でも、そういった質問が来るということは学生も「理学療法士と作業療法士はどっちがいいの?」という疑問を持っていると思われます。
と、いうことで可能な限りデータを集めて理論的にどっちが良さそうなのかを一緒に考えてみましょう!
理学療法士と作業療法士の違い
理学療法士は「動作のスペシャリスト」と言われ、運動や物理療法を通して運動機能を改善させることを目的とする職業。
作業療法士は「生活のスペシャリスト」と言われ、作業活動を通して生活機能の向上を図ることを目的とする職業。
作業療法士は、精神疾患や摂食障害などの患者も対象であるとされてきましたが、最近ではその垣根も取り払われつつあり、理学療法士も精神疾患のリハビリができる人も増えてきています。
つまり勉強する幅がかなり広くなってきてるということ!

理学療法士と作業療法士の難易度
合格率や学生の退学率などから難易度の差を調べました。
なかなか面白い結果がでましたよ!
理学療法士と作業療法士の国家試験受験者と合格率
- 理学療法士:172,285人
- 作業療法士:94,248人
- 理学療法士:10,809人 85.8%
- 作業療法士:4,531人 71.3%
参考|日本理学療法士協会・統計情報
参考|厚生労働省・PTOTの今後の状況
理学療法士は作業療法士の倍の人数がおり、これが今後淘汰されていくと言われている原因です。
作業療法士も有資格者はドシドシ増えていますが、このままいくと10年後の2030年には理学療法士の1/3程度の人数になると予想されます。

理学療法士と作業療法士の退学者率、留年率(平成24年度入学生)
- 退学率:17.3%
- 留年率:14.9%
- 退学・留年せず卒業できる率:69.9%
- 退学・留年せず国家試験に合格する率:58.6%
- 退学率:17.5%
- 留年率:16.0%
- 退学・留年せず卒業できる率:69.9%
- 退学・留年せず国家試験に合格する率:66.2%
参考|厚生労働省・第1回PTOT学校陽性施設カリキュラム当改善検討会資料:実態調査(結果)
このデータはなかなか面白いですよ。
理学療法士は退学率も留年率も作業療法士を下回るんですが、「留年しないで国試を受けた場合」は理学療法士のほうがかなり数字が悪いんです。
もしや…理学療法学科は落とされにくい?
甘やかされている?
と勘ぐってしまいます(そんなことはないと思いますけどね!)
理学療法士と作業療法士の給与はどっちがいい?
理学療法士と作業療法士の給与の差を調べたら差はありませんでした。
求人も、理学療法士と作業療法士の給与はひとくくりにしている施設が多いです。
果たしてそれでいいのか?と疑問に思うのですが、今後改善していってほしいですね。
そもそもリハビリ点数がPTもOTも同じということが問題なのかもしれませんけど…(この話は長くなるので割愛します)
給料に差がないので将来性も調べてみました。
理学療法士と作業療法士の給与(平成30年)
PTとOTに差はほとんどありません。
- 平均年収:408万4,600円
- 月収給与:28万5,200円
- 年間賞与(ボーナス合計):66万2,200円
- 残業時間(月累計):6時間
参考|Career Garden
参考|厚生労働省「平成30年 賃金構造基本統計調査」

理学療法士と作業療法士の10年後、20年後
理学療法士も作業療法士も人とのかかわりあいが必須なので、恐らくこのままリハビリテーション業務として需要はあると考えられます。
AIやロボット産業がリハビリに進出しているので、もしかしたら仕事の質が変わってくるかも。
要はA.Iに患者データ(評価)を入力すれば自動で最適なプログラム立案をしてくれて、それを理学療法士、作業療法士が実践するといったことになるかもしれません。
タブレット端末の普及などで医療現場は大きく変わります。
手技のみでなく、コンピューターにも慣れておかないといけないかもしれませんね。
理学療法士と作業療法士の将来性
高齢化社会に伴い、リハビリ内容はより高齢者に特化したものになっていくと考えられます。
需要はありますが、治療スキルや手技は刻々と変化します。
運動機能のみに着目した理学療法士は、もしかしたら淘汰されてしまうかも。
毎年1万人増えていく現状をどう判断するかがカギとなります。
例えば認定理学療法士・呼吸認定士・ケアマネージャー・住環境福祉コーディネーターなどの資格を持っていると強いかもしれませんね。

訪問リハビリテーションやデイケアの増加により活躍の場は増えていきます。
小児リハ(発達障害)に対する社会的認知も上がっているので、そういった分野で働ける広がりがあるので、恐らく将来性は需要の高まりもあり安定しています。
ただし、知識や技術、人をまとめる能力も必要とされるので、日々の努力は必須です。

まとめ:理学療法士と作業療法士は似て非なるもの
理学療法士と作業療法士は似ていますが、仕事内容や目的は少し違います。
最終的には患者を日常に復帰させることで一致しているのですが、そこまでのアプローチが違うんです。
だから自分のやりたいリハビリがあるほうを目指せばいいと思いますし、作業療法士が運動をしてもいいし理学療法士が認知行動訓練をしたっていいんです。
お金や難易度や将来性で選んでも今のところ大差ないです。
ただこれからの時代は分かりませんから、理学療法士も作業療法士も頑張っていく必要がありますね!
最後にまとめてみるとこんな感じになります。
- 国試難易度:作業療法士のほうが難しい
- 有資格者:理学療法士が圧倒的に多い
- 学生生活:退学率・留年率はわずかに作業療法士のほうが多い
- 給料:ほぼ同じ
- 将来性:共に活躍できる分野はある
この結果から、理学療法士と作業療法士のどちらがいいかは決められないかもしれません。
自分の目で現場を見たり、仕事内容をもっと詳しく見て判断することを強くおすすめします。