「評価は終わったけど治療プログラムの立て方が分からない…。」
そんな悩みを解決します。
治療プログラム立案は臨床実習においてかなり重要な位置づけであり、かなりの確立で学生が悩む項目の1つとなっています。
でも治療プログラム立案ってそんなに難しく考える必要はありません。
まずは大まかにプログラムを立案していき、実行していくべきです。
ここでは、簡単にプログラム立案を立てていく方法をお伝えします。
【step1】プログラム立案の前に評価をしよう
プログラム立案をするには、まず評価が必要です。
患者の疾患から怪しい部分を隅々まで評価することを『ボトムアップ』
患者の問診や動作から怪しい部位を考え、ポイントを絞って評価することを『トップダウン』
といいます。
基本的にはトップダウンでの評価のほうが効率がいいので、トップダウンで評価していきましょう。

評価が終わったら、その結果に違和感を覚えるはず。
- 参考可動域やカットオフ値より低い項目がある
- 左右差がある
- 一般的な年代の数値より劣る
この3つが主な違和感の原因です。
カットオフについてはこちらの記事をご参照ください。

このように、実際に評価して「一般的数値より劣る部分」が、この患者の問題点です。
この「劣る部分」に注目しましょう。
【step2】患者がどうなってほしいか考えよう
評価が終わり、「劣る部分」を見つけたら次に「この患者にどうなってほしいか」を考えます。
患者のhopeから考えても良いですし、家族のhopeを参考にしても構いません。
ここでは患者の最終的な理想像をイメージしてください。
- 杖を使わず歩けるようになってほしい
- トイレに1人で行けるようになってほしい
- 自宅で1人で生活できるようになってほしい
いろいろあると思いますが、ここでの目標は「1つ」に絞ってください。
1つに絞ることで学生は治療プログラムが立てやすくなります。
【step3】目標に対して「悪さ」をしている部分を改善させるプログラムを立てよう
目標が決まったら、その目標が達成できていない原因を評価結果から抜き出します。
- 杖を使わずに歩けない→中殿筋と大殿筋のMMT3
- トイレに1人で行けない→BBSがカットオフ以下
- 自宅で1人で生活できない→Brsステージ3
もちろん、目標が達成できていない原因は1つではありませんから、自分が「問題だ」と思う項目を全て洗い出すんです。
そうすると、それを改善させるためのプログラムが立案できるというわけです。

プログラム立案の流れ
- 評価し、「劣る部分」を見つける
- 患者のhopeなどから目標を決める
- 目標を達成できない原因を評価結果から抜き出す
- 抜き出した「劣る部分」を改善させるためのプログラムを立てる
このような流れでプログラムを立てていきます。
ある患者のプログラム立案例
左大腿骨頸部骨折患者に対する理学療法
【評価】
- Pain:左大腿外側、膝関節(動作時)
- ROM(Ltのみ):股関節屈曲90 伸展-10 外転20 内転10 SLR45 膝関節屈曲100 伸展-10
- MMT(Ltのみ):腸腰筋3+ 大腿四頭筋4 ハムストリングス3 内転筋2 中殿筋3+ 大殿筋3+ 腹直筋3
- M-tone:左大腿直筋 左大腿筋膜張筋 左中殿筋↑
- 整形外科テスト:左Ober-test(+) 左トレンデレンブルグ(+)
- 荷重量:体重43kg 制止立位時左下肢荷重量15kg 随意荷重量35kg
- アライメント:左骨盤挙上・後方回旋位 両膝外反膝
- 基本動作:起居:自立 起立動作:膝上に手置くと困難 移乗:見守り 歩行:歩行器見守り
【目標設定】
自宅での生活をほぼ自立しなければならない
【問題点】
- 機能障害:#1左大腿転子部骨折 #2術後 #3大腿筋膜張筋の短縮
- 能力低下:#4患側下肢痛 #5歩行能力の低下 #6下肢筋力低下 #7バランス能力低下
- 社会的不利:#8自宅での独立生活 #9 3階までの階段昇降 #10歩行補助具の使用
【治療プログラム】
- #左下肢ストレッチ(#1.2.4)
- #ステップ練習(#1.5.6.7)
- #Active-ROM(#1.2.4.)
- #跨ぎ動作練習(#5.7.8.9)
- #歩行練習(#5.6.7.8.9.10)
- #階段練習(#5.6.7.8.9.10)
()内は問題点に対するもの
さいごに
治療プログラム立案は、最初はそこまで細かく設定しなくてもいいです。
- ブリッジエクササイズを30回
- 階段昇降を30回
- 股関節のROMを20回
などと立ててくる人がいますが、最初は
- 大殿筋の筋トレ
- 階段練習
- 股関節ROM
というように大まかに設定してください。
治療を続けていくうちに「この患者のブリッジは20回くらいが適正だな?」と分かってきますから。
まず大事なのは、評価から違和感を感じ、患者の目標に向かって改善すべきプログラムを立てることです。