学生がよくわからないICFの書き方を分かりやすく簡単に教える【リハビリ臨床実習対策】

臨床実習対策




「ICFやれって言われるけど、そもそも何のためにやるの?面倒くさいんだけど。」
「ICFやれって言われてもやり方が良くわからないし何書いたらいいか分かりません!」

 

ICFは国際生活機能分類と言われ、世界で実用されています。

ICIDHと違い、ICFは疾病の有無にかかわらず全ての人を対象としているのが特徴です。

 

特に医療・介護現場でよく使われ、全ての人が生活の中で関わるあらゆる問題について共通認識を持てるものとなりえます。

もちろん、患者のみならず、ぼくらにも使用できるものがICF。

ICFを使うことで対象が本当に何を望んでいるのかが分かるので、理学療法学生は問題点抽出の前にICFに自分の行ってきた評価を分類し、解釈する…のですが、なかなかうまくいきません。

 

学生自身ICFに興味がないのもそうですが、十分な教育(分かりやすい指導)を受けてこなかったのも背景にあります。

そこでここでは、ICF分類をするために「どこに」「何を」「どうやって」書いたらいいかの説明をします。

 

可能な限りかみ砕いてお話しするので内容は不十分かもしれませんが、学生が使うには十分な内容になっています。

ICFが苦手だな、と感じている学生はぜひご活用ください。

【参考文献:「国際生活機能分類-国際障害分類改訂版-」厚生労働省

 

【参考書】

なぜICF分類をしなければいけないのか?

人が健康で生きていくことを「生活機能」といいます。

その生活機能が制限されている状態を「障害がある状態」ととらえます。

 

この障害は身体機能のみならず、活動や参加にも不利益をもたらすのは分かりますよね?

足が痛い(障害)と外出(活動)もできませんし、趣味のダンス(参加)にも参加できません。

この「生活機能」と「障害」の関連性を詳しく分類分けし、理解しやすくするチャートのようなものがICF分類です。

 

ICFの相互作用チャート

【出典:「国際生活機能分類-国際障害分類改訂版-」厚生労働省

 

患者の「生活機能(健康で生きていくこと)」に対し「障害」がどの程度影響を及ぼしていくのを理解し、どの部分にアプローチしていけばいいのかを分かりやすくするので、ICF分類を実習では活用していくんです。

 

ICFを書くには機能分類を簡単に知ろう!

ICF分類はとりあえず書かないと意味がありません。

分類項目は6つあります。

 


  1. 健康状態
  2. 心身機能・構造
  3. 活動
  4. 参加
  5. 環境因子
  6. 個人因子

 

このように分類されていますが、良くわかりませんよね?

まずは、キミの行った評価をどこに落とし込んでいけばいいのか?をハッキリさせましょう。

せっかくの評価を無駄にしないように、なるべくわかりやすく説明しますのでガンガンとチャート用紙に書きこんでいってください。

 

健康状態には何を書いたらいいの?

健康状態の場所には主に病気やケガ、心理的ストレスの事を書きます。

 


  1. 病名
  2. 疾患名
  3. 怪我状態
  4. ストレス状況
  5. 精神的状態

 

健康であればそれを書くべきだし、悩みがあって落ち込んでいたり、妊娠中であればそのこともここに記載します。

【例】
脳梗塞 左麻痺 軽度運動性失語 顔面神経麻痺なし 入院による活気低下 体重低下傾向

 

心身機能・構造には何を書いたらいいの?

【心身機能】

  • 四肢の動き
  • 感覚(視覚・聴覚・味覚など)
  • 内臓機能
  • 精神

などの機能的な面を書きます。


【構造】

  • 皮膚
  • 関節
  • 靭帯
  • 内臓

などの構造面について書きます。


 

機能はその臓器や部位の「働き」を表し、構造はその臓器や部位の「器質的状態」を表します。

 

【例】
心身機能:Brs左上肢Ⅳ 下肢Ⅴ 下肢ROM制限 疼痛性跛行(+) 視野狭窄あり
構造:左下腿浮腫(+) 周径差-15mm 足関節内反拘縮

 

活動には何を書いたらいいの?

活動には目的を持った動作、行動を書きます。

まず日常生活活動である5つがここに入ります。

 

  1. 食事
  2. 整容
  3. 更衣
  4. 入浴
  5. 排泄

 

これらがどのような状況下を書き出していきます。

その他の活動として

 

  • 職業的動作(パソコンの使用など)
  • 余暇活動(散歩など)
  • 文化的活動(スポーツ活動やIT機器の使用など)
  • 社会生活(社会でうまく生活していけているかなど)

 

これらも生活に必要な活動なので、全てがここに入ります。

 

【例】
ADL自立だが夜間のトイレは見守り 書字困難 歩行400m可能 フットサルをしたい

 

参加には何を書いたらいいの?

参加には対象が様々な事に積極的に参加できているかを記載していきます。

 

  • 家庭内での役割(炊事・選択・買い物・ごみだしなど)
  • 社会的な役割(仕事や地域行事など)
  • 政治的役割(市民活動、ボランティアなど)
  • 文化的役割(教育、スポーツ活動など)

 

これらがここに該当します。

活動は動作そのものを指し、参加はその活動に参加する行動の事を差します。

 

【例】
自宅では家事炊事を担当 2か月に1度地域の防犯パトロールに参加 仕事(事務員)復帰希望

 

環境因子には何を書いたらいいの?

環境因子は大きく3つに分類されます。

 


  1. 物的環境(生活用品・自然環境など)
  2. 人的環境(介助者・介助支援・対人関係など)
  3. 社会的環境(福祉サービス・行政サービス・制度や政策など)

 

これらが対象に対してどのような影響を与えているかを記載していく箇所です。

更にわかりやすく記載していくと以下の通りになります。

 


【例】

  • 物的環境:住居・交通の便の環境、福祉用具や自然災害の有無など身の回りの環境に関する状況。
    リハで多いのは「信号のない交差点を渡る」「トイレに手すりがない」「杖を使用して外出する」など。
  • 人的環境:家族・知人・近隣住民・職場スタッフなどの関係。
    「日中独居」「家族が面会に毎日来る」「地域交流なし」など。
  • 社会的環境:医療提供サービスや福祉サービスを利用する環境にあるか。
    「介護保険申請中」「年金暮らし8万円/月」「2か月に1度A病院を定期受診」など。

 

これらは良い影響を与える「促進因子」と悪い影響を与える「阻害因子」に分けられます。

 

個人因子には何を書いたらいいの?

個人因子はその人個人の個別性を記載していきます。

第一印象や、情報収集からドンドン書き出せるこうもくですので、その人を特定できる要因があれば書きだしていくといいでしょう。

 


【個人因子となりうる項目】

  • 年齢
  • 性別
  • 生活歴
  • 職業歴
  • 学歴
  • 価値観
  • ライフスタイル
  • 趣味
  • 性格

 

もしかしたらこの個人因子によって健康状態に悪影響を与えているのかもしれません。

軽く見がちですが、しっかりと書き残していきましょう。

 

ICFで患者が具体的に何を望んでるのか理解できる

ICFは全ての人を対象としており、その健康にかかわるすべての側面をくみ取れるチャートとなっています。

 

その目的は大きく3つ挙げられます。


  1. 健康に関する身体状況、健康に悪影響を及ぼす因子を理解する。
  2. スタッフ間でのコミュニケーションツールとして活用し、多職種間のサービス向上を図る。
  3. 時期の違いによる変化を追い、目標設定の微妙なズレを修正していく。

これがICFを利用する目的です。

 

ICFで患者の評価項目をチャート化することで、どの項目が健康な生活の制限因子になっているのかを予測することができるんです。

 

「杖歩行自立」は良いのか悪いのか?

杖歩行自立

そう聞くと良いことだと思うかもしれません。

しかし、これが『30歳女性、1児の母、週2回の買い物、月に1度友達とランチに行くのが趣味」だったらどうでしょう。

杖歩行自立は促進因子でなく、阻害因子になりかねませんよね。

 

部屋のいたるところに手すりがついている

これも良いことだと思うかもしれません。

しかし「車いす自立生活 実用廊下幅67cm 日中独居」だった場合、手すりは生活する上での阻害因子です。

 

このようにICFはその人と環境や身体機能を照らし合わせ、何が良くて何が良くないかをハッキリさせるツールとして用いることができます。

学生はまず、自分の評価項目をICFのどの部分に落とし込むことができるのか?を理解し、そこにはめ込んでいってください。

 

そして、その評価項目が対象者にとって促進因子なのか阻害因子なのかを考えることで、より明確なリハビリ目標が立てられるようになります。

ICFの使い方をできるだけ簡単に説明しましたが、少しでも実習中の参考になれば幸いです。

 

ICFから問題点抽出をできるようにしていきましょう。

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その他、評価の方法や対策法はこちらにまとめてありますので、ご利用ください。

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