今回はレポートやレジュメで書くことの多い「統合と解釈の書き方」をなるべくわかりやすく解説します。
統合と解釈の書き方って学校では詳しく教えてくれないんですよね…。
ぶっつけ本番で実習で書くなんて無理です。
統合とは「二つ以上のものを合わせて一つにすること」、解釈とは「言葉や文章の意味・内容を解きほぐして明らかにすること。また、その説明」です。
統合と解釈は「全ての情報から現状の答えを導き出す」こと。
言葉にすると難しいのですが、なるべく分かりやすく、例題を用いて解説します。
▽参考文献▽
統合と解釈は患者の動きと評価結果の因果関係を導き出す
統合と解釈は、患者の「できない事」がなぜなのかを理学療法評価から結び付けて問題点を明らかにする作業です。

歩けない患者がいる
この歩けない患者の原因は何か?評価から結び付ける。
【評価結果】
- 大腿四頭筋の筋力は段階5
- 大殿筋の筋力は段階3
- 下肢可動域は全て問題なし
このような評価結果であれば、歩けない理由=大殿筋の筋力低下という事になります。
結果的に、治療プログラムには大殿筋の筋力強化エクササイズが必要だ、ということになりますよね。
このように、できない現象と評価結果を照らし合わせて、問題点を抽出する行為を統合と解釈と言います。
分かりやすい統合と解釈の書き方
- 症例の説明
- 目的とすべき動作
- 動作の中で何が問題か
- 原因となる仮説
- 評価との照らし合わせ
- 改善に必要なポイント
上記の流れで書いていきます。
レポートやレジュメの作成に使えますので、ぜひ参考にしてください。
症例の説明
まずは症例の大まかな全体像を説明していきます。
本症例は〇月〇日に自宅で転倒し、大腿骨頸部骨折を呈した70歳代の女性である。
既往歴はなく、病前は自立した生活を送っていた。
目的とすべき動作
次にこの症例が目的とする動作や生活を記載します。
本人の主訴やhope、家族のhopeなどと組み合わせて話を展開させていきます。
HOPEは自宅復帰で、同居の夫もそれを強く望んでいる。
現在のADLは杖歩行見守りで身の回り動作も自立しているが、本人の役割である家事と共に、趣味の婦人会への参加も強く希望されている。
現在の歩行能力では家事全般を行ったり、徒歩10分の集会場で行う婦人会に参加するのも困難であるため、歩行能力について述べていく。
動作の中で何が問題か
次に、動作の中で何が問題化を述べていきます。
本症例の歩行能力は杖歩行見守りで50mの連続歩行可能。
歩行後は疲労感を訴え、心拍数も上昇傾向にある。
また、時折ふらつくことがあるため見守りは外せない。自宅復帰するには、歩行距離の延長とふらつきの軽減が必要になる。
原因となる仮説
なぜできないのか、仮設を立てます。
大腿骨骨折後の手術により、臥床期間が長かったことや、術創部が後外側であることから中殿筋が少なからず切開されている可能性が高い。
そのため、バランスを保持するのが難しくふらつきが出てしまうものと考えられる。
評価との照らし合わせ
仮説を裏付けるために評価と照らし合わせをします。
下肢筋力検査の結果、大腿四頭筋、ハムストリングスは段階4~5で問題とならなかったが、中殿筋と大殿筋は段階3程度であった。
また、リハビリ開始前と終了後のバイタルチェックで、収縮期血圧が20mmHgの上昇、心拍数は30回/min上昇していたことから体力低下も疑われる。
改善に必要なポイント
問題点が上がったら、リハビリに必要な項目を羅列していきます。
以上の事から、中殿筋、大殿筋の筋力強化は必須であり、体力強化の為にエルゴメーターの実施を提案した。積極的なリハビリ介入により、動作は改善していくものと考えられる。
このような流れで書いていくと分かりやすいです。
文字数は10行以下に収まると良いかもしれませんね。
レポートに統合と解釈を書くタイミング
統合と解釈を書くタイミングは評価の後です。
「評価」→「統合と解釈」→「治療プログラム」→「考察」の流れになります。
統合と解釈と考察は全く別の物なので、分けて書くべき。
統合と解釈は「問題を洗い出し、治療プログラムを立案する」までのプロセスを差すので、考察とはちょっと違うんですよね。
考察に関してはこちらの記事をご参照ください。
【臨床実習・レジュメ】学生が悩む考察を簡単にスッキリまとめる書き方≫

実習レポートでは「統合と解釈」と「考察」どっちを書けばいいの?
実習レポートやレジュメは文字数が限られていますので、考察でまとめて書いてしまうほうが良いです。
考察の出だし10行以内で統合と解釈を記載し、その後考察に写っていけば比較的読みやすいレポートやレジュメが完成するはずです。
あとは臨床実習指導者に相談し、適宜修正していく事をおすすめします。
わからなかったらまず相談ですよ!