調べるのが面倒なリハビリ評価のカットオフまとめ【リハビリ臨床実習対策】

臨床実習対策




「評価をしたけどカットオフが分からない!患者に適したカットオフ値を教えて!」
「カットオフってどの評価にもあるの?実習でよく使う評価も知りたい!」

 

実習生が評価で悩むのがカットオフ値の設定です。

例えば片足立ちが10秒だったとしても、それが正常かどうかを判断するのが学生には難しいようですね。

20歳代が10秒片足立ち出来るのと、70歳代が10秒片足立ちできるのは数字は同じでも捉え方は異なります。

ここでは、臨床実習でよく使う評価のカットオフ値を網羅的にお伝えしますので、ぜひ実習に役立ててください。

 


  1. バランス系
  2. 筋力・体力系
  3. 歩行系
  4. 認知機能系
  5. ADL系

 

の5大項目に分けてお伝えしますのでぜひ実習の参考にしてください。

 

なお、文献等で調べた内容になっておりますがあくまで参考程度にし、自分でもう一度調べることをおすすめします。

 

実習評価で重要な評価項目『バランス能力』のカットオフ

ここで紹介するのは以下の4つです。

  1. BBS(Berg Balance Scale)
  2. FRT(Functional Reach Test)
  3. 開眼片足立ち
  4. TUG(Timed Up & Go test)

 

BBS(Berg Balance Scale)の簡単な説明とカットオフ

【方法】

指定の14項目の検査を行い、56点満点で評価するスケール

【カットオフ】

  • 46点以上:病棟内自立レベル
  • 36点以上:病棟内見守りレベル

 

日本理学療法士協会の「推奨グレードの決定およびエビデンスレベルの分類」では45点以下で複数回の転倒発生リスクが高まり、36点以下ではさらに危険が高くなると報告されています。

 

FRTの簡単な説明とカットオフ

【方法】

立位姿勢から片方の上肢をできるだけ前方に突き出し、その距離を測定する


【カットオフ】

  • 40~60歳:33~40cm
  • 70~85歳:25~33cm

【参考値】

  • 25cm未満では歩行を自立していない人が多い
  • 15cm未満で転倒リスク増大
    酒井医療株式会社

 

日本理学療法士協会の「推奨グレードの決定およびエビデンスレベルの分類」では15.2cm以下で転倒の危険が高くなると報告されています。

 

開眼片足立ちテストの簡単な説明とカットオフ

【方法】

目を開けたままその場で片足立ちをして秒数を計る

【カットオフ】


【平均値】

  • 65歳代:44秒
  • 70歳代:31秒
  • 75歳代:21秒
  • 80歳代:11秒
    (埼玉医大、坂田2007による調査)

【参考値】

  • 転倒歴のあるもの:30秒以下
  • 健常高齢者:15秒
  • 要支援高齢者:3秒
  • 後期高齢者転倒リスク群:2秒以下

 

日本理学療法士協会の「推奨グレードの決定およびエビデンスレベルの分類」では5秒以内の者は転倒ハイリスク者とされており、重篤な転倒との関連性も報告されています。

 

TUG(Timed Up & Go test)の簡単な説明とカットオフ

【方法】

着座状態から3メートル先の目印を回って戻ってくるまでの最大努力のタイムを計る


【カットオフ】

  • 10秒未満で歩行自立
  • 11~19秒で移動がほぼ自立(屋外歩行可能レベル)
  • 20~29秒で歩行不安(屋内歩行可能レベル)
  • 30秒以上で歩行障害(日常生活に要介助レベル)
    日本整形外科学会:運動器不安定症より】
  • 13.5秒以上で転倒リスクがある
  • 11秒以上で運動器不安定症リスクが高まる

 

日本理学療法士協会の「推奨グレードの決定およびエビデンスレベルの分類」では8.5秒以上で転倒経験者が含まれると報告されています。

 

実習評価で重要な評価項目『筋力・体力』のカットオフ

ここで紹介するのは以下の2つです。

  1. 握力測定
  2. 周径検査

 

握力測定の簡単な説明とカットオフ

【方法】

握力計を指第二関節にかかるように把持し、立位で両手下垂位で測定する


【基準値(kg)】

 

周径検査の簡単な説明とカットオフ

【方法】

メジャーを使用し、大腿・下腿・上腕の周径を計り左右差を見る


【男性平均値(cm)】

  • 60歳代:大腿46.9 下腿35.6 上腕28.1
  • 70歳代:大腿45.5 下腿34.6 上腕27.1
  • 80歳以上:大腿43.7 下腿33.5 上腕25.9

【女性平均値(cm)】

  • 60歳代:大腿45.5 下腿33.8 上腕26.6
  • 70歳代:大腿44.7 下腿33.1 上腕26.5
  • 80歳以上:大腿42.0 下腿31.8 上腕25.1
    身体計測・身体組成検査

 

実習評価で重要な評価項目『歩行能力』のカットオフ

ここで紹介するのは以下の3つです。

  1. 年代別歩行能力
  2. 6分間歩行
  3. 10m歩行

 

年代別歩行能力の簡単な説明

【歩行の評価】

歩行は秒速(分速)、1歩幅、ケイデンス(1歩効率)を計算して算出します。

  • 秒速(cm/秒)=歩行cm÷秒数※mで出す場合は最後に÷100
  • 分速(cm/分)=歩行cm÷秒数×60※mで出す場合は最後に÷100
  • 1歩幅(cm)=歩行cm÷歩数
  • ケイデンス(歩/秒)=歩数÷秒数

【年代別歩行速度】


【最低歩行速度】

  • 0.41m/秒 で屋内歩行自立レベル(10m歩行24.6秒)
  • 0.86m/秒 で屋外歩行自立レベル(10m歩行11.6秒)

 

6分間歩行の簡単な説明とカットオフ

【方法】

30mの直線を6分間でできるだけ多く往復し、その距離を測る


【カットオフ】

  • 平均値:500m~550m
  • 400m以下で外出制限
  • 200m以下で生活活動制限
  • 332m(分速80m)で一般的には自立生活可能と考える

 

10m歩行の簡単な説明とカットオフ

【方法】

12mのライン上を歩き、10m分の歩数と時間を計る


【カットオフ】

  • 24.6秒:屋内歩行レベル
  • 11.6秒:屋外歩行レベル

 

日常生活の歩行レベル

  1. 日本の歩行表記は1分間80m進めることを基本としている
  2. 駅から徒歩5分=400m離れていることを示す
  3. 信号を渡るためには1m/秒の歩行速度が必要であると示唆されている
    歩行評価基準の一考察 : 横断歩道の実地調査より:日本理学療法士協会第15巻

 

実習評価で重要な評価項目『認知機能』のカットオフ

ここで紹介するのは以下の3つです。

  1. HDS-R(長谷川式簡易知能検査スケール)
  2. MMSE(Mini Mental State Examination)
  3. TMT-A、TMT‐B(Trale Making Test)

 

HDS-R(長谷川式簡易知能検査スケール)の簡単な説明とカットオフ

【方法】

定の質問紙に沿って患者に対して実施する


【カットオフ】

  • 20点以下で認知症を疑う

 

これらの質問は必ずしも順番通りに行う必要はなく、日常会話を織り交ぜながらでもOK。
ただし、質問4~7は順番通りに聞くことになっています。

 

MMSEの簡単な説明とカットオフ

【方法】

指定の質問紙に沿って患者に対して実施する


【カットオフ】

 

MMSEの得点は教育や年齢の影響を受けやすいので得点の解釈に十分配慮します。

 

TMT(Trale Making Test)-A、Bの簡単な説明とカットオフ

【方法】

  • TMT-Aは1~25までの線を結んでいく
  • TMT-Bは1~13までの数字とあ~しまでの平仮名を交互に結んでいく

【TMT‐Aの平均値】

  • 50歳代:109秒
  • 60歳代:158秒

TMT‐Aのカットオフ値は117.5秒という研究結果もある。
地位在住高齢者における注意機能と心身機能の関連性


【TMT‐Bの平均値】

  • 50歳代:151秒
  • 60歳代:217秒

TMTは注意機能と遂行機能、視野性の探索機能を評価します。

TMT‐Bに関してはそれに加え、ワーキングメモリや注意分配機能も垣間見れるので患者に合わせて利用してください。

 

実習評価で重要な評価項目『ADL』のカットオフ

ここで紹介するのは以下の4つです。

  1. BI(Barthel Index)
  2. FIM(Functional Independence Measure)

 

BI(Barthel Index)の簡単な説明と1人で生活できるカットオフ

【方法】

患者のできるADLを100点満点で評価する


【カットオフ】

  • 60点で介助が必要
  • 85点以上で自立
    【改定版BI:Grangerによる】

 

FIM(Functional Independence Measure)の簡単な説明と1人で生活できるカットオフ

【方法】

しているADLを18項目126点満点で評価する


【カットオフ】

 

基本的にADL評価にカットオフはなく、その人の生活背景に則った評価が必要となります。

参考程度にしてください。

 

運動療法実施に必須!運動強度を決める方法

患者の運動強度の目安決定には以下の2つの計算式を利用します。

  1. ゼロトゥピーク法
  2. カルボーネン法

 

ゼロトゥピーク法の計算式

【ゼロトゥピーク法】
(220-年齢)×運動強度(%)


【例】
50歳 目標運動強度60%の場合
(220-50)×0.6=102拍


 

ゼロトゥピーク法は最もシンプルで臨床現場でも多く活用されています。

年齢と運動強度のみの計算なので、筋肉量や元々の体力は考慮されないので注意が必要です。

 

カルボーネン法の計算式

【カルボーネン法】
(220-年齢)-安静時心拍数)×運動強度(%)+安静時心拍数

安静時心拍数とは、朝目覚めてすぐの1分間の心拍数を指します。


【例】
50歳 安静時心拍数60拍 目標運動強度60%の場合
(220-50)-60)×0.6+60=126拍


 

カルボーネン法は安静時心拍数が計算に入るので、その人個人の体力が考慮されます。

個々に合ったプログラムや経過を追うときはカルボーネン法を使用することが望ましいでしょう。

 

まとめ:カットオフ値はあくまで目安である

カットオフ値をいくつか紹介してきましたが、この数字はあくまで目安です。

この数字を越えたから良い悪いでなく、患者のADLや生活様式を確認しながら決定していきましょう。

臨床実習で少しでも役立つことを期待しています。

 

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