学生が「何を書けばいいか分からない・・・」と、最も頭を悩ませる【FIM】ですが、なぜ書き方が分からないかと言うと「具体例」を知らないからだと思います。
ここでは、運動項目の具体例とともに、FIMの全ての項目を点数化させていきます。
もくじから必要な項目に飛んでください。
FIM運動項目の採点基準の基本
- 7点:完全自立
すべての課題を適切な時間内に安全に遂行できる - 6点:修正自立
補助具の使用、通常より時間がかかる、安全性の考慮のうちどれかが必要 - 5点:監視・準備
体に非接触で、監視や指示、準備や指示が必要
- 4点:最少介助
手で触れる程度の介助、課題の75%以上を自分で遂行できる - 3点:中等度介助
手で触れる程度以上の介助、課題の50%以上を自分で遂行できる - 2点:最大介助
課題の25%以上50%未満を自分で行う - 1点:全介助
課題の25%未満を自分で行う
- 手すりや杖を使用した時点で6点
- 介助者が身体に触れる介助をした時点で4点以下
- 「していない」項目がある場合
例えば「整容」を全てしていないのなら1点、「整容」のうち、1部をしていないのなら、残りの要素のみで評価 - 本人ができるのに行わない場合
本人ができるのに介助を求めたら、「指示が必要」と解釈し5点、介助を求めず、行おうとしない場合は1点
食事(Eating)
- 食べ物を口に運ぶ、咀嚼、嚥下を含めた評価
- 配膳後から評価となる(配膳・準備(肉のカット、プリンの蓋を開ける等)は含まれない)
- 刻み・ペースト食は最大6点
7点
- 配膳・下膳のみしてもらい他は自立
- 箸は使えないがスプーンやフォークで1人で食べられる
- デイルームでみんなで食べているが、スタッフが注意を向けなくても大丈夫
6点
- 自分でストロー・特別なスプーン・エプロンを準備して使用する
- 全て自立しているが食べるのに時間がかかる
- 経管栄養だが準備は自立している
5点
- 食事の早さや一口量の監視が必要
- ストロー・特別なスプーン・エプロンを準備してもらう
- 配膳後に準備が必要
バターを塗る、ソースをかける、袋を切る、食べこぼしの処理など
4点
- 食べ物をかき集めてもらう
- 介助者に口の中に食べ物が残ってないか確認してもらう
3点
- 装具の装着、スプーンでのかき集めは介助が必要だが口に運ぶのは自分でできる
2点
- 半分程度食べたら食事をやめてしまい、残りは介助にて摂取する
1点
- 経管栄養を受けていて自己管理できない
整容(Grooming)
- 口腔ケア、整髪、手洗い、洗顔、髭剃り(または化粧)の5項目で評価する
- 自助具や装具を自分で用意できれば6点
- 電気コードを差して充電したり化粧品を所定の位置に戻す行為も含まれる。
例えば
- 口腔ケア:自立(100%)
- 整髪:自立(100%)
- 手洗い:自立(100%)
- 洗顔:軽介助(75%)
- 髭剃り:軽介助(75%)
の場合、(100+100+100+75+75)÷5で90%自立となり、点数は4点となります。
7点
- 自分ですべて準備して5項目すべて実施している
- 入れ歯だが自分で洗える
6点
- 自助具や補助具を使用し、自分で装着できる
- 時間がかかるが5項目すべて自分で行える
- 電動歯ブラシ、電気カミソリ、濡れタオルを使用して実施できる
5点
- 歯磨き粉をつけてもらう
- 装具、自助具の装着をしてもらう
- 洗面用具の準備をしてもらう
- 電動髭剃りの充電をしてもらう
- 化粧品の蓋を開けてもらう
4点
- あごの髭だけ剃ってもらう
- はみがきでゆすいでもらう
3点
- 片方の奥歯を磨いてもらう
- 片手を洗ってもらう
2点
- 歯磨きは介助だがすすぐのは自分でできる
- 顔を洗えるが、仕上げの大半を介助してもらう
1点
- 全て行ってもらう
清拭(Bathing)
- 洗髪、背中洗いは評価しない
- すすぎ、乾燥までを評価する
- 洗い直しが必要であれば4点となる
- 左右上肢、左右大腿、左右下腿、胸、腹、陰部、臀部の10か所で評価すると点数化しやすい
7点
- 背中以外を洗え、乾かすことができる
- 洗えるが、洗おうとしない
6点
- 滑り止めマット、シャワーチェアを使用して自立
- 時間がかかるが全て自分で行える
- 柄付きブラシやループ着きタオルの使用
5点
- 柄付きブラシやループ着きタオルを装着してもらう
- 石鹸をつけてもらう
- お湯の温度を調整してもらう
- バスタオルを持ってきてもらう
4点
- タオルを絞ってもらう
- 清拭する時に支えてもらう
- 体の1部分だけ洗ってもらう
3点
- 洗えるが乾かせない
- 下半身は洗ってもらっている
2点
- 洗う、すすぐ、乾かす動作の半分以上が介助である
- 片手と胸、腹しか洗えない
1点
- 特浴の使用
- 全て自立だが、不十分なので介助者に全身を洗い直ししてもらう
- 体の1部分しか洗えない
更衣(上半身)Dressing upper body
- 主に使っている衣服(人前に出て恥ずかしくない格好)で評価する
- 下着の着脱も評価する
- 義手は自分で着脱が自立していれば7点
- 入浴の際の着脱は評価対象としない
7点
- 下着を含めた衣類を自分で取り出し、着脱する
- 義肢装具を使用するが自分で着脱して更衣動作ができる
6点
- マジックテープなどで改良した特殊な衣服を着用する
- 時間がかかるが自分で行える
- 自助具や装具を自分で装着し、更衣できる
- 手すりや椅子を使用している
5点
- 洋服の準備をしてもらう
- 義肢装具を着脱してもらう
- 転倒の危険が無いか監視してもらう
- 衣服の乱れがあり、声掛けで指摘して直せる
4点
- ボタン掛けの介助
- 着衣の乱れの修正介助が必要
- ブラジャーのホックの介助が必要
3点
- 片袖を通してもらい、頭から被せる介助が必要
- 半分だけ介助が必要
2点
- 片袖だけ自分で通せる
- ボタンだけ自分でできる
1点
- 更衣しない
- 協力動作はあるが、自分では更衣動作ができない
更衣(下半身)Dressing lower body
- 主に使っている衣服(人前に出て恥ずかしくない格好)で評価する
- 下着、靴下、SHBの着脱も評価する
- 義足は自分で着脱が自立していれば7点
- 入浴の際の着脱は評価対象としない
- 着脱を容易にするOリングやファスナー付きシューズは6点
- 装具だけ介助が必要なら6点
- 紙おむつはパンツと同じ扱い
- お尻部分が十分上げきれない場合、指示して直せれば5点、手伝いが必要なら4点
- 本人が面倒くさがって着替えない場合1点
- 座っても寝てても、全て自分でできていれば7点
7点
- 下着を含めた衣類を自分で取り出し、着脱する
- 義肢装具を使用するが自分で着脱して更衣動作ができる
- 市販のマジックテープ留の靴を履いている
- 紙おむつの着脱が自立している
6点
- ズボンのファスナーをマジックテープに改良してある
- 時間がかかるが自立している
- 手すりを使用する
5点
- 洋服の準備をしてもらう
- 肢装具を着脱してもらう
- 転倒の危険が無いか監視してもらう
- 衣服の乱れがあり、声掛けで指摘して直せる
4点
- 靴ひもを結ぶ、ファスナー上げの介助のみ必要
- 更衣後の衣服の乱れを修正する必要がある
3点
- 靴と靴下のみ介助してもらっている
2点
- ズボンを膝まで通してもらえば自分で行える
- 下着のみ自分で履ける
1点
- 協力動作のみできる
- 2人介助で実施する
トイレ動作(Toilething)
- 衣服を下げる、拭く、衣服を上げるの3項目で評価
- 生理用品の始末も含む
- ポータブルトイレを利用しても7点
- 手すりの使用は6点
- 日中自立、夜間オムツだったら低い方を取り1点
- 排尿時と排便時で介助量が違う場合、低い方を点数とする
- 人工肛門管理ができれば7点
- トイレまで行く場合は「移動」トイレに乗り移る場合は「移乗」で評価し、トイレ動作に含まない
7点
- 自分でバランスを取り、衣服の上げ下げ、ペーパーで拭くことが出来る
- 生理用品を廃棄し、新しいものに付け替えることが出来る
- 人工肛門の管理をし、ストマを清潔に保てる
- 尿器を使用しているが、衣服の上げ下げや拭くことはできる
6点
- 手すりを使用している
- トイレ動作の為に義足を使用している
- 滑り止めマットを使用している
5点
- 自助具の準備をしてもらう
- トイレの近くで見守っててもらう
- ナプキンなどを袋から出してもらう
4点
- 衣服の上げ下げの際、体を支えてもらう
- ファスナーの上げ下げの介助が必要
3点
- 衣服を下げる、挙げる、陰部を拭く作業の内、1つだけ全介助してもらう
- 衣服を下げる、挙げる、陰部を拭く作業の3つに簡単な介助が必要
2点
- 衣服を下げる、挙げる、陰部を拭く作業の内、2つを全介助してもらう
- 衣服を下げる、挙げる、陰部を拭く作業の内、3つにかなりの介助が必要
1点
- お尻上げ、立位保持などの協力動作のみ
排尿コントロール(Bladder management)
- 排尿動作とは、括約筋を自分の意思でコントロールすること
- 失敗とは、汚染により衣服やシーツを交換すること、つまり失禁しても集尿器を当てていれば失敗にならない
- 自己導尿は全て自立していても6点
- 導尿頻度は週1回以下なら5点、自尿より導尿のほうが多ければ2点
- バルンは自分で処理できれば6点、膀胱洗浄を介助してもらっているなら4点以下
- 日中自立、夜間オムツだったら低い方を取り1点
- 毎回時間誘導が必要だが失敗しない場合、自分で管理できていないので1点
- 排尿関係の薬を使用している場合、薬の管理ができていれば6点
7点
- 排尿のコントロールができ、決して失敗しない
6点
- しびん、差し込み尿器、カテーテル、おむつを使用しているが自分で着用し、自分で廃棄している
- 導尿の自立
5点
- 尿器を使用し、その処理を介助者にお願いしている
- 導尿の説明を受けながら自分で実施できる
- 失敗が1月に1回程度
4点
- 失敗が月1回以上
- 自尿の頻度が導尿の頻度より多い
- オムツを付けて貰っているが失禁していない
3点
- 失敗が1日1回未満、週に1回以上
- 自尿と導尿が同程度の頻度
2点
- 夜間のみ失敗する
- 介助導尿のほうが多い
- 時間誘導してもらうことが多い
1点
- 毎回失敗する
- 毎回時間誘導している
- カテーテルの装着から処理までを任せている
排便コントロール(Bowel manegement)
- 排便動作とは、括約筋を自分の意思でコントロールすること
- 失敗とは、汚染により衣服やシーツを交換すること、つまり失禁してもオムツを当てていれば失敗にならない
- 下剤の使用は6点
- 人工肛門だがストマは自分で処理して清潔に保てる場合は6点
- 月に3~5回程度の下剤の使用は7点
7点
- たまに下剤を使用している
- 決して失禁しない
6点
- 差し込み便器、ポータブルトイレ、おむつ、自己摘便を自分でしている
- 人工肛門を自分で管理している
- 便失禁があるが、自分でおむつを処理できる
5点
- 座薬、浣腸を袋から出してもらう
- 失敗が月に1回未満
- ポータブルトイレを用意してもらう
4点
- 失敗が週に1回未満、月に1回以上
- 座薬の頻度が毎日
3点
- 失敗が1日に1回未満、週に1回以上
- 便失禁が10日に1回程度
2点
- 失敗が週に複数回ある
1点
- 毎日失敗する
- 全て時間誘導してもらっている
- 毎日便の失敗があるため、オムツを着用している
移乗:ベッド・椅子・車いす(Transfers:bed,chair,wheelchair)
- ベッド上の起き上がり、ベッドからの立ち上がり、車いすへの移乗の一連の動作を評価
- 車いすはブレーキや不っとレストの上げも評価
- リフターの使用を自立していれば6点
- 移乗動作は自立しているが、徘徊予防のため抑制されている場合は5点
- 移乗の往復で介助量が異なる場合、低い方の点数をつける
7点
- 車いすのブレーキ、フットレスト管理も含め、手すりを使用せず自立している
6点
- 手すりや車いすのアームレストを使用する
- トランスファーボード、リフトを使用するが自力でできる
- 滑り止めマットの使用
5点
- トランスファーボードの準備、車いすのブレーキの管理が必要
- 移乗はできるが、徘徊予防の為に抑制されている
4点
- 腰ひも、腰ベルトに触れる
- 手で添える程度の介助
3点
- 軽く引き上げる程度の介助
- ベッドからの起き上がりが全介助だが異常は自立している
2点
- かなりの力で引き上げる介助が必要
1点
- 2人介助が必要
- リフターに乗せてもらい、移乗する
移乗:トイレ(Transfers:toilet)
- トイレの脇についたところから評価する
- 便器に近づき、座り、立つことを評価する
- ポータブルトイレは自立していても6点
- 日中と夜間で介助量が異なる場合、低い方を点数とする
- 差し込み便器を使用し、トイレには行っていない場合は1点
7点
- 安全に移乗できる
- 車いすのブレーキ、アームレストの操作ができる
- トイレの蓋の開け閉めはできないが、その他はできる
6点
- リフト、手すり、杖などの自助具を使用している
- トイレの手すりに摑まる
5点
- 車いすのブレーキ、フットレストの上げ下げを介助する
- 近くで見守りが必要
4点
- 腰ひも、腰ベルトに触れる
- 手で添える程度の介助
3点
- 軽く引き上げる程度の介助
- ベッドからの起き上がりが全介助だが異常は自立している
2点
- かなりの力で引き上げる介助が必要
1点
- 2人介助が必要
- 差し込み便器を使用し、便器に移乗していない
移乗:浴槽・シャワー(Transfers:tub or shower)
- 浴槽付近からのアプローチ、浴槽の出入り、浴槽内の立ち上がりを評価する
- シャワーのみの人はシャワーチェアへの移乗動作を評価する
- 浴室の出入り口の評価はしない
- 特浴の場合は1点
- 清拭のみの場合は1点
7点
- 浴槽付近からのアプローチ、浴槽の出入り、浴槽内の立ち上がりを安全にできる
- 浴室に入るときに介助を要するが、浴室内に入ってしまえば自立している
6点
- バスボード、手すり、義肢装具などを使用し自立している
- 滑り止めマットの使用
5点
- バスボード、手すり、義肢装具などの準備に介助が必要
- 安全に問題があり監視が必要
4点
- 浴槽への移乗で片足のみ介助が必要
- 触る程度の介助
3点
- 浴槽からの引き上げの介助が必要
- バスボードを使用し、両足を持ち上げてもらう介助が必要
2点
- 一連の動作でかなりの引き上げ介助が必要
1点
- 2人介助
- 特浴の利用
- 浴槽移乗を行っていない(本人の拒否も含む)
移動(Locomotion)
- 歩行距離、車いす駆動距離、その介助量を評価する
- 車いすを使用していれば6点以下
- 距離の目安は50m
7点
- 50mを安全に杖を使用せず歩行する
- アームスリングや頸椎カラーなどの下肢装具以外の使用
6点
- 下肢装具や杖を使用し50m歩行できる
- 車いすを用いて50m以上移動できる
- 徘徊予防の警報器を付けているが50m以上移動できる
5点
- 50mの移動に監視や促しが必要
- 15mの移動を自立(監視なし)して可能
- いざりやハイハイで15m以上の移動が自立
4点
- 介助者に手を添えてもらい50m以上歩行可能
- 車いすで50m以上移動できるが、曲がり角などで介助が必要
3点
- 介助者に支えられて50mの歩行が可能
- 車いすでまっすぐであれば50m移動可能(曲がれない)
2点
- どんなに介助しても15mしか歩行できない
- 車いすでまっすぐであれば15m移動可能(曲がれない)
1点
- どんなに介助しても15m未満しか歩行できない
- 車いす操作が15m未満しかできない
- 全く移動できない
階段(Stairs)
- 移動段数、介助量を評価する
- 12~14段可能か、不可能な場合、4~6段可能か評価する
- リウマチなどで日内変動がある場合、低い時間帯の点数をつける
- 階段が5段しかなく評価できない場合、3往復して15段の昇降として考える
7点
- 普段はエレベーターだが必要であれば12~14段の昇降ができる
6点
- 手すりを使って12~14段の昇降ができる
- 杖や義足を使用し12~14段の昇降ができる
5点
- 12~14段の昇降ができるが、監視が必要
- 4~6段の昇降であれば自立している(補装具の有無は問わない)
4点
- 12~14段の昇降を介助者がいればできる
3点
- 12~14段の昇降を介助者に支えてもらう必要がある
- 12~14段の昇降を足を上げる介助が必要
2点
- 軽く介助してもらえば4~6段の昇降ができる
- 触れる程度の介助で4~6段の昇降ができる
1点
- 訓練室でのみ昇降できるが実動作はできない
- 2人介助
- 怪我の恐れがあり、実施していない
- 階段昇降できない
以上で運動項目のFIM検査は終了です。
全てを計算し、88点満点で計算してください。
FIMは
- 運動項目の合計点数(91点満点)
- 認知項目の合計点数(35点満点)
- 運動項目と認知項目の合計点数(126点満点)
の3種を導き出すのが基本です。