臨床実習でよく使われる評価「Timed up&go test(タイムド・アップアンドゴー・テスト:TUG)」の解説です。
実習に向かう学生向けの記事です。
Timed up&go test(TUG)の目的
Timed up&go test(TUG)の目的は「バランス評価」です。
Berg Balance Scale/BBS(バーグバランススケール)や、Functional Reach Test/FRT(ファンクショナルリーチテスト)もバランスの評価ですが、この2つははその場から大きく動かないことを前提としています。
しかし、Timed up&go testは動的なバランスを見るという部分に特化しています。
つまり、BBSやFRTは「動作時・作業時のバランス」を見るのに対し、TUGは「移動時のバランス」を見る評価と言えます。
Timed up&go test(TUG)のカットオフ
TUGのカットオフは11秒以内です。
ソース(参考資料)は公益社団法人 日本整形外科学会「運動器不安定症の定義と診断基準」ですので、11秒以内である理由をバイザーから求められたらこのサイトをお伝えしてください。
しかし、臨床では
- 10秒以内:60~80歳代であれば正常である
- 13.5秒:転倒する恐れがある
- 20秒:屋外の外出は可能だが不安がある
- 30秒以上:日常生活動作に介助が必要である
とされているので、こちらも参考にしてみると良いですね。
Timed up&go test(TUG)の評価方法
【環境設定】
- 椅子を置き、その椅子(椅子の前足)から3m先にコーンなどの目印を置く
4点杖などを借りておくとよい
【実施方法】
- 1度患者にやっている所を見せる(デモンストレーションする)
- 背もたれに軽く背中を付け、両足は地面に着いた状態とする
- 開始のタイミングは患者に任せ、臀部が椅子から離れた瞬間にストップウォッチをスタートさせる
- 3m先の目印を回って、再び椅子に座るまでの時間を測定する。その際、転倒リスクがある場合は一緒についていく
- 臀部が椅子に接地したところでストップウォッチを止める
- 2回実施し、早かった時間記述する。その際、小数点第一位までをご記入し、それ以下は四捨五入する。
学生が間違えやすいポイントを赤字に記しました。
特にデモンストレーションは重要で、口頭で理解しにくい評価なので自分でも実施できるようにしておくべきです。
Timed up&go test(TUG)の注意点
- コーンは左右どちらから回っても良い
- 最大速度で歩行させ、走ってはいけない(両足支持期があることを確認する)
- 日常で歩いている方法(杖・歩行器など)で実施する
- 可能な限り同じ時間・同じ場所で実施する
まず最大速度で歩行させることがポイントとなります。
走るか走らないかギリギリのラインで歩く必要があるので、デモンストレーションが必要になるんです。
これをやるかやらないかで、本当に数秒の誤差が生まれてきてしまいます。
また、なるべく同じ時間に実施することで投薬の効き具合や覚醒度にバラつきが出るのを押さえます。
食後で満腹の状態と、食前の状態だったらタイムに差が出そうですよね。
そういった所にも配慮できると良いですね。
まとめ
Timed up&go test(TUG)は転倒のリスクがある評価なので、まずは患者のバランス能力などをしっかり精査したうえで実施すべきです。
心配ならBBSを実施し、46点以上であることを確認してからTUGをやったほうが安心かもしれません。
Timed up&go test(TUG)をすることで、患者の移動時のバランス能力を見ることができます。
ぜひ実習に役立ててください。