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【リハビリ】動作分析・歩行分析に必要なポイントと記し方【リハビリ臨床実習対策】

臨床実習対策
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そんな学生に向けて「実習を楽しんでほしい」と願いを込めたnoteを作成しました。

学校では教えてくれない、実習中の過ごし方を教えます。実習に悩んだらぜひ覗いてみてください。

 

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「歩行動作を何度も見てるけど全然理解できない!」
「動作分析って何をどうすればいいのか教えてほしい!」

 

理学療法士は動作のスペシャリストと呼ばれているので、動作観察・分析がしっかりできないと困ります。

しかし、姿勢観察と違って動作観察は一連の動きの中から切り取った一瞬を見極めなければならないので、慣れていないとみるポイントが多すぎて結局何も分からないままになってしまいます。

 

そこで、今回は動作を簡単に見極める方法(動作観察)と、動作分析が苦手な人でも理解するポイントをお伝えします。

 

【参考書】

 

分かりやすいように歩行動作に着目していきますが、本来は様々な動作で分析をしていくべきです。(野球選手なら投球動作、バッティング動作など)

学生が見たがる「歩行動作」はあくまで動作の1つなので、歩行のみに捕らわれないようにしましょうね。

 

姿勢観察と姿勢分析の方法はこちらの記事をどうぞ

詳しく解説!姿勢観察ができない人へ書き方と目的【リハビリ臨床実習対策】
学生が最も苦手とする評価の『姿勢評価』について見るポイントと記載の仕方をお伝えしています。姿勢評価は動作評価につながる重要な基盤なので、ぜひマスターしてください。

 

動作観察ができない学生必見!動作観察の方法

動作観察が全然できない!という人は、目的の動作を動画で録画してしまいましょう。

1回で全ての動作を確認するのは不可能なので、動画で記録して後からじっくり観察・分析すればいいんです。

 

動作の観察ポイントはたくさんあります。

 


【動作の観察ポイント】

  1. 動き始めの部位
  2. 代償動作
  3. 補助具
  4. 特徴的な動作
  5. 各関節の状態

 

動作観察はこれらが複雑に混ざりあってるので、1回や2回見たところで理解するのは困難です。

かといって、患者に何度も同じ動作をさせるわけにもいかないですよね。

立ち上がり動作にしろ、寝返り動作にしろ、動画で撮って、それを見ながら観察したほうが早いです。

 

方法はカンタン。

  1. スマホやビデオを患者の全身が写るように固定し置く
  2. 録画し、患者に必要な動作をしてもらう

以上です。

 


【注意点】

  1. 患者が一人で実施できない場合、誰か撮影役をお願いする
  2. 手で持つとブレるので、撮影機器は固定しておく
  3. 撮影前に患者に十分な説明をし、個人情報保護に努める

 

あとは家に帰ってパソコンなどでコマ送りしながらじっくり見ればいいだけです。

 

動画撮影した画像から絵にする裏技

動画があったとしても、それを絵にするのは大変ですよね。

そんな時はトレーシングペーパーを使いましょう。

スマホやパソコン画面にトレーシングペーパーを張り付け、目的のポイントで一時停止します。

そうすると画像が透けて見えますので、なぞって書き写していきます。

写し方は停止した画像の骨線に合わせて柔らかいエンピツ(Bや2Bなど)でなぞっていくだけ。

そうするとものすごく上手な棒人間が完成します。

あとはスキャンするなり切って張り付けるなりしてご活用ください。

 

動作観察は正常動作との逸脱を見よう

患者の動作(フォーム)を観察して何が分かるか?というと正常動作との違いが分かります。

そして、その逸脱したポイントを捉え、なぜそのような動作になってしまうか?を考えていきます。

このなぜ?を考えることが動作分析です。

 

動作を見て「なんとなく変だ」というのは誰でもわかると思います。

でも、どのポイントでどの関節が変だとはなかなか分からないものです。

それを理解するために動作観察をするんです。

 

歩行動作分析の方法

歩行動作の分析評価の方法は以下の通りです。

 

  1. 標準歩行をベースに考える
  2. 前額面・矢状面から見る
  3. 安楽歩行を見る

 

そして歩行評価すべき項目は以下の通りです

  1. 歩行の姿勢を見る
  2. 歩行の速度を見る
  3. 歩行の継続距離を見る

 

あなたが対象者のどの部分を着目してみたいのかを決めて、歩いてもらう場所や距離を決めましょう。

 

歩行の姿勢を見たい場合

歩行の姿勢を見たい場合は、広くて安全な場所で数メートル歩いてもらいます。

平行棒の中でも良いです。

 

見るべきポイントは

  1. 目線
  2. 体幹の軸
  3. 体幹の左右動揺
  4. 骨盤の前後傾
  5. 歩幅
  6. 足角
  7. アームスイング
  8. 蹴りだし

を見ると良いですね。

一般的な歩行に比べてどうなのかを記載し、それがなぜ起こっているのかを考え、修正することで正しい姿勢(エネルギー効率の良い姿勢)で歩くことが出来るようになります。

 

歩行の速度を見たい場合

歩行速度は一般的に1mを1秒で進むと解釈しています。

文献によると、1秒間で45cmしか進めない場合は転倒のリスクが上がると書かれているものもありますし、歩行速度が1秒間で25cm以下だとADLの自立度がかなり低下するとも言われています。

 

なので、歩行速度を調べる事は非常に重要。

どのように評価するかと言うと10m歩行が主に使われます。

 

10mを歩行する歩数と時間を計測します(助走としてスタートとゴールに2m確保する)

安楽歩行と最大速度歩行の2つを計測し、結果から秒速・歩行率・1歩幅を算出してカットオフと照らし合わせます。

10m歩行自体のカットオフは屋内歩行自立レベルが24.6秒、屋外歩行自立レベルが11.6秒です。

 

【ポイントとなるデータ】

  • 屋内歩行24.6秒
  • 屋外歩行11.6秒
  • 通常高齢者10秒(1秒で1m)
  • サルコペニア判断基準12.5秒(1秒で0.8m)
  • 60歳代平均値1秒で1.3m(最大速度は1.77m)
  • 70歳代平均値1秒で1.27m(最大速度は1.75m)

 

10m歩行を極める!レポートで使える時速・秒速・ケイデンスの効果的な活用法
10m歩行からわかる「秒速」「分速」「時速」「ケイデンス」の使い方や計算方法をお伝えしています

 

歩行の継続距離を見たい場合

人は目的があるから歩くんです。

その目的がスーパーの買い物やゴミ出しだった場合、ある程度の連続歩行ができないといけません。

歩行の継続距離を評価するのが6分間歩行です。

 

6分間歩行は30mの直線を6分間で何往復できるか?を調べます。

実施前に血圧等を図り、最大速度で歩かせます。

1分ごとに時間をお伝えし、途中で休んでもOK(その間もタイマーは動かす)。

6分経ったら座らせ、すぐに血圧等を図りその変動を見ます。

 

これにより6分間で進む距離と血圧等の変化による疲労度を出すことが可能。

6分間歩行のカットオフ値はいろいろありますが、一般的な歩行は1秒1mなので360mと考えてOK。

 

【ポイントとなるデータ】

  • 平均距離は男576m、女494m(PTジャーナルより)
  • 322m以上歩ければ一般的に自立(PTジャーナルより)
  • 200m以下は外出不可
  • 400m以上は外出可能

 

歩行分析が分かりやすくなる3つのポイント

学生さんが歩行分析を苦手とする理由は3つです。

 

  1. どこに着目したらいいか分からない
  2. 早すぎて良くわからない
  3. どこが異常なのか分からない

 

気持ちはよくわかりますが、1つずつ対処法はあるのでご紹介します。

 

【ポイント①】どこに着目したらいいか分からない場合の対処法

患者の歩行分析でどこに着目したらいいかわからないなら、見るべきポイントを絞りましょう。

  1. 患側を見る
  2. 大きな関節を見る
  3. 立脚相だけを見る

1~3のどこか1つに絞るだけでだいぶ分かりやすくなるはずです。

 

患側を見る

なぜか学生さんは全体像を見ようとします。

そんなのどうでもいいから患側にだけ着目してください。

悪い方をじっくり観察することで、集中してみる事ができます。

 

大きな関節を見る

なぜか学生さんが歩行分析をする際、「足関節が・・・」とか「重心が・・・」とか分かりにくい所ばっかり見ようとするんですよね。

そんなのどうでもいいんです。

股関節とか膝関節とか、大きな関節のほうが分かりやすいですからそういう所を見てください。

 

立脚相だけを見る

なぜか学生さんは歩行周期を見ようとします。

歩行周期を全部見ようとするのは難しいので、立脚相を見てください。

異常がみられるポイントの多くは立脚相ですから。

 

このように、どこに着目したらいいか分からないならポイントを絞るべきです。

  • 患側だけ見れば全体の50%で済みます
  • 大関節だけ見れば全体の67%で済みます
  • 立脚相だけ見れば歩行周期の60%で済みます。

これだけでだいぶ楽になりますよ。

 

【ポイント②】早すぎて良くわからない場合の対処法

歩行が早すぎてわからないのは当然です。

10m歩かせても、たった12秒くらいで終わってしまいますから。

その間に全部見ろったってそりゃ無理ですよ。

 

じゃあどうするか?

もうね、文明の利器を使いましょうよ。

デジカメやスマホやら用意して録画して後で何回も見ればいじゃないですか。

それくらいアタマ回しましょう。

 

患者への配慮と個人情報の確保

動画撮影をする前に、患者へのインフォームド・コンセント(説明と同意)と個人情報についてしっかりと確保しておきます。

動画撮影前に患者にしっかりと許可を得てください。

 

  1. 歩く姿を記録し、今後に役立てたい
  2. この動画は実習中以外使用しない
  3. 実習終了時に消去する

 

上記3点は必ずOKを貰うべき。

 

そして個人情報は、絶対に確保すべき。

SNSにアップロードしたり、たくさんの記録媒体(USBとかPC内とか)に保存すると問題になります。

 

  • 記録媒体は1つのみにし、外部に持ち出さない。
  • 家に持ち替える場合はCEに許可を得る。

 

これくらいは配慮しましょう。

だから自分のスマートフォンで撮影するのも実はよくありません。

インターネットにつながり、流出する恐れもあります。

iPhoneなら、本体に記録されると同時に、icloudにも記録されてしまいますから、完全に保護するのは難しいです。

 

動画撮影は、デジタルカメラなどを使用し記録媒体がSDカードのみになるようにしたほうがいいです。

コンパクトデジタルカメラなら1万円以下で買えるので、実習のみならず普段使いもできるので1台持っていてもいかもしれません。

旅行などでも重宝しますしね。

おススメはNikon デジタルカメラ COOLPIX A10

充電のみならず、乾電池(単三×2本)でも使えるのでいざというときにも安心。

しかも大手メーカーなのに9,000円程度で入手可能!

 

歩行介助しながら撮影するなら三脚もあるといいですよ。

自分で撮影するのが難しいならCEに相談してください。

 

【ポイント③】異常が分からない場合の対処法

異常歩行を知るためには正常歩行を知らなければなりません。

「異常が分かりません・・・悪い所が分かりません・・・」という学生さんが多いのですが、そういった学生に対して正常歩行とは?と聞いても良い答えが返ってきません。

 

正常歩行を知らずに異常歩行を見つけるなんて不可能です。

間違い探しの「間違いの絵のみ」を見て間違いを探すようなものですよ。

正しい絵と見比べるから「間違い探し」が成立するんでしょ?

 

歩行も同じ。

正常歩行を知らないで異常歩行を見ようなんて無理ですよ。

正常歩行を勉強しなさい。

 

ほら、これも読んで。

ご丁寧にサブタイトルに「正常歩行と異常歩行」って書いてありますから。
こんな偉い人でも正常歩行が大事だよ!って言ってるのに、学生が正常歩行を無視しちゃダメでしょ。

動作分析が苦手な人におすすめのポイント

動作分析で重要なのは、自分がどうなってほしいのか?を考えることです。

例えば、左麻痺患者の歩行で左ICが踵から接地せず足底全部(全足底接地と言います)で着いてしまうような患者さん。

あなたはどうなってほしいですか?

そう、踵からついてほしいんですよね。

 

まず考えてほしいのは『なぜICが踵からつけないのか?』を考えていきます。

 


【踵からつけない原因予測】

  1. 右下肢の支持性低下
  2. 左背屈の随意性低下
  3. 可動域、筋力低下(足背屈、膝伸展)
  4. 股関節のコントロール不良

 

など様々な原因が浮かび上がるはずです。

その原因予測を、いままえの個別評価と照らし合わせていきましょう。

 

動作分析で浮かんだ原因とその他評価を紐づけする


【踵からつけない原因予測】

  1. 右下肢の支持性低下
  2. 左背屈の随意性低下
  3. 可動域、筋力低下(足背屈、膝伸展)
  4. 股関節のコントロール不良

このような予想が立ったら、評価と照らし合わせてエビデンス(信頼性)を確保します。

 


【踵からつけない原因と評価の紐づけ】

  1. 右下肢の支持性低下→片脚立位は何秒か?
  2. 左背屈の随意性低下→Brsの段階はいくつか?
  3. 可動域、筋力低下(足背屈、膝伸展)→ROM測定、MMTの結果はどうか?
  4. 股関節のコントロール不良→協調性検査の結果はどうか?

 

動作分析もその他の評価との兼ね合いで分析結果の信頼性が向上します。

動作分析をキチンとするためには、その他の評価もキチンとできていないといけません。

 

ROM,MMT,周径検査の目的と活用方法の記事もぜひ合わせてごらんください。

【リハビリ】関節可動域,筋力評価,周径検査の目的と活用方法【臨床実習対策】
ROM,、MMT、周径を評価する目的と使い方をお伝えしています。評価したらその結果を問題点抽出に役立てなければいけません。その方法を知ってください。

 

正常動作に近づけるために誘導していく

ある動作が出来ない場合、どこかに介助や誘導を入れるとできるようになるはずです。

今回はICが踵からつけないという話で進めていきます。

ICが踵からつけない理由は先ほどいくつか抽出しましたね。

 


【踵からつけない原因予測】

  1. 右下肢の支持性低下
  2. 左背屈の随意性低下
  3. 可動域、筋力低下(足背屈、膝伸展)
  4. 股関節のコントロール不良

ここに1つずつ誘導していき、動作が変化するか考えていきます。

 


【左背屈の随意性低下に誘導を加える】

  • 装具を着用する
  • TA(前脛骨筋)に刺激を与える
  • 裸足で歩いてみる

 

【股関節のコントロール不良に誘導を加える】

  • 骨盤周囲筋をグリップする
  • 骨盤ベルトの使用
  • 骨盤回旋運動の誘導

 

誘導する場所や強さはここによって異なります。

動きを誘導するために1つ1つの反応を感じ取り、変化の有無を確認してください。

そして、良い変化(この症例だと踵から初期接地できる)が起こったポイントが、介入すべき箇所となります。

 

誘導する頻度や強度でわかる動作の問題点

動作分析では誘導、介入して変化を見ることでその患者の問題点に繋げることができます。

そして、誘導の頻度や強度(強さ)である程度問題点の予測がつくので、参考までに挙げていきます。

 


【運動方向を誘導する程度:軽介助】

  • 動作の方法ややり方が理解できていない。

 

【支えながら誘導する程度:中等度】

  • 筋力低下や麻痺の影響で動作が阻害されている。

 

【動作に対してかなりの誘導が必要:重介助】

  • 疼痛、恐怖心などによる代償動作が問題の可能性がある。

 

【誘導出来ない:全介助】

  • 関節拘縮、運動制限の可能性がある

 

こうして動作がなぜできないのか?を分析して問題点抽出に繋げる事で、治療プラグラム立案にも役立ちます。

 

動作分析の意義は、姿勢観察と動作観察を基本とし、その他の理学療法評価を照らし合わせて問題点を探し、それに対するアプローチを考察していくことです。

全部ひくるめて理解しようとすると大変ですし、混乱してしまいがちなので、ひとつずつ丁寧に評価していくことをおすすめします。

 

まとめ:動作はその人にとって必要な動作を分析しよう

動作分析に正解はありません。

その動作をなぜその人が行っているのか?

それを常に考えていく過程になります。

 

もちろん、障害が無くても動作分析はできます。

まわりの人を見てください。

同じ歩き方をしている人はいませんよね。

なぜその歩き方をしているのかを考えること。

至ってシンプルです。

 

そして、自分の考える適切な動作に誘導しつつ変化があるのかを検証し続けることが重要となります。

 

動作分析が終わったら、今までの評価と共にICFに落とし込んでいきましょう。

学生がよくわからないICFの書き方を分かりやすく簡単に教える【リハビリ臨床実習対策】
ICFの書き方をできるだけ簡単に説明しています。まずは学生はICFチャートの適切な部分に書き込んでいけるようにしましょう!

 

その他、評価の方法や対策はこちらにまとめてありますので、ご参照ください。

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