
「理学療法士ってマッサージできるんですか?」
学生さんからよく聞かれる質問のひとつです。
結論からいうと、法律的に「マッサージ」という言葉はあん摩マッサージ指圧師が使える表現なので、理学療法士が行うときは 「リラクゼーション」 と呼びます。
でも、やっていることは患者さんの筋をほぐしたり、血流を良くしたりと“マッサージ”とほぼ同じ。
このリラクゼーションは、ただ「気持ちいいから」やるのではなく、リハビリの成果を高めるための大切な武器になるんです。
この記事では、
- 理学療法士がマッサージ(リラクゼーション)を行う目的
- 実際にどんな効果があるのか
- 学生が実習で覚えておくべきポイント
をわかりやすく解説していきます!
理学療法士がマッサージできない理由
まず大前提として「理学療法士はマッサージできない」と言われるのは、法律的な表現の問題です。
- あん摩マッサージ指圧師 → 「マッサージ」と表現してOK
- 理学療法士 → 「リラクゼーション」として行う
内容はほとんど同じですが、呼び方が違うんですね。
学生実習などで「PTはマッサージできない」と言われたら、こういう背景があると覚えておきましょう。
マッサージ(リラクゼーション)の目的と効果
理学療法士がマッサージを取り入れる理由は、大きく3つあります。
① 患者さんのコンディションを把握する
まずは 「触れること」 で体の状態を確認できます。
- 筋肉が硬くなっていないか
- 冷感がないか
- 腫れはないか
などをチェックしながら、今日の状態を把握できます。
実際に触れることで「昨日より筋緊張が強いな」など、変化に気づけるんです。
② 運動効果を最大限に引き出す
マッサージで血流が良くなると、筋肉の温度が上がり、動きやすくなります。
その結果
- 筋収縮がスムーズになる
- エネルギー効率が良くなる
- 運動中のケガを予防できる
まるで準備運動と同じような効果が得られるんです。
③ 筋疲労を回復させる
筋肉を使うと「乳酸」が溜まって疲労感や筋肉痛の原因になります。
マッサージで血流を促進すれば、その乳酸を除去しやすくなるんです。
これにより
- 翌日のリハビリも意欲的にできる
- 良いコンディションで運動を継続できる
といったメリットがあります。
マッサージをする部位と順番
「どこから始めるか?」も大事なポイントです。
- 基本は大きな筋肉(大腿・上腕など)から
- いきなり鼠径部や腋窩などデリケートな場所はNG
- 最初は膝や前腕など、不快感の少ない部位から入るのがベター
患者さんにとって「不快に感じないか」がすごく重要です。
いきなり大腿をゴリゴリ触ると、びっくりされて信頼を失うこともあります。
マッサージ(リラクゼーション)のコツ【学生向け】
- 部位の順番を意識する
初めは膝や前腕、腰など不快感が少ない部位から、大腿や上腕など大きな筋肉は後半に - 力加減は“ゆっくり”が基本
強すぎると痛みや警戒心につながる。弾力を感じながら、血流がじんわり増えるイメージで - 触れる前に声をかける
「これから軽くほぐしますね」などで患者さんの緊張を和らげる - 目的に合わせて筋を選ぶ
運動前 → 動かす筋肉を中心に
運動後 → 疲労している筋肉を中心に - 観察しながら調整する
筋の硬さや表情を見て強さや範囲を調整 - 「痛い」と言われたらすぐに調整
まとめ:マッサージは信頼関係を築くきっかけになる
マッサージ(リラクゼーション)は
- 身体評価(コンディション把握)
- 運動の効果を高める
- 筋疲労を回復させる
という3つの大きな目的があります。
さらに「気持ちいい」と感じてもらえることで、患者さんからの信頼も得やすいんです。
「PTはマッサージできないから」と避けるのではなく、治療の一環としてうまく活用できると、患者さんとの関係性もぐっと良くなりますよ。
学生さんは実習で「触れることの意味」を意識して取り組むと、評価の理解も深まります。