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実習前に絶対知っておくべき「リハビリ中止基準」リスク管理できますか?

臨床実習対策
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  • 血圧が高いけど、どうしたらいいんだろう?
  • 患者が「疲れた」って言ってるけど休ませたほうが良いの?
  • 「リスク管理をしっかり」と言われたけどどうすればいいか分からない

 

リハビリではリスク管理が極めて重要です。

リハビリの中止基準が、さまざまな文献で出ているので、それらを照らし合わせながら臨床現場で役立ててください。

 

リスク管理とは?

医療現場における「リスク管理」とは、最悪の事態を想定することを目的とします。

息切れのある患者が「大丈夫だ」と言っていても、その次の瞬間意識が飛んで倒れてしまうかもしれません。

 

患者の症状(息切れやチアノーゼなど)や主訴(息苦しさや胸痛)があれば最悪の事態を想定できるかもしれませんが、そういったものがない場合にも最悪の事態を想定できるか?が重要です。

例えば、脳卒中の患者の血圧が180mmHgと高かった場合、「いま動いたらまずいのではないか?」という事を想定していたら、転倒などの事態を避ける事ができます。

特にリハビリでは「中止基準」という明確な基準があるので、それを参考にリハビリ介入をすべきです。

 

リハビリのリスク管理の基本

リスク管理の基本はバイタルサイン(生命徴候)です。

リハビリ介入前・介入中・介入後にバイタルサインを確認し、大きな変化がないか観察します。

  1. 呼吸(呼吸数・呼吸の深さ)
  2. 体温
  3. 血圧
  4. 脈拍
  5. 意識レベル

以上の5項目は常に確認しておきます。

血圧はいちいち測るのも面倒なので、呼吸数や発汗、意識レベル(眼振や焦点も含む)、唇や指先の色(チアノーゼ)くらいは常に意識してほしいですね。

 

バイタルサインの正常値(基準値)

  1. 呼吸 呼吸回数 12〜18回 / 分
  2. 体温 36〜37℃
  3. 血圧 130mmHg未満(収縮期) / 85mmHg未満(拡張期)
  4. 脈拍 65〜85回 / 分
  5. 意識レベル 意識清明(JCS=0、GCS=15)

 

アンダーソン 土肥のリハビリ中止基準

運動を行わないほうがよい場合

①安静時脈拍数120回/分以上
②拡張期血圧120mmHg以上
③収縮期血圧200mmHg以上
④労作性狭心症を現在有するもの
⑤新鮮心筋梗塞1ヶ月以内のもの
⑥うっ血性心不全の所見の明らかなもの
⑦心房細動以外の著しい不整脈
⑧運動前、安静時にすでに動悸、息切れのあるもの

 

途中で運動を中止する場合

①運動中、中等度の呼吸困難、めまい、嘔気、狭心痛などの出現
②運動中、脈拍数が140回/分を越えた場合
③運動中、不整脈(期外収縮)が1分間で10回以上出現した場合
④運動中、頻脈性不整脈の出現
⑤運動中、徐脈の出現
⑥運動中、収縮期血圧40mmHg以上または拡張期血圧20mmHg以上上昇した場合

 

運動を一時中止し、回復を待って再開する場合

①脈拍数が運動前の30%以上増加した場合。ただし、2分間の安静で10%以下に戻らぬ場合は中止するか、きわめて軽労作のものにきりかえる
②脈拍数が120/分を越えた場合
③1分間に10回以下の不整脈(期外収縮)が出現した場合
④軽い動悸、息切れが出現した場合

 

日本リハビリテーション医学会の中止基準

公益社団法人 日本リハビリテーション医学会 (jarm.or.jp)

日本リハビリテーション医学会のリハビリの中止基準は、アンダーソン土肥の基準と少し違います。

最近はこちらを参考にする施設が多いです。

 

積極的なリハビリを実施しない場合

①安静時脈拍40回/分以下または120回/分以上
②安静時収縮期血圧70mmHg以下または200mmHg以上
③安静時拡張期血圧120mmHg以上
④労作性狭心症の方
⑤心房細動のある方で著しい徐脈または頻脈がある場合
⑥心筋梗塞発症直後で循環動態が不良な場合
⑦著しい不整脈がある場合
⑧安静時胸痛がある場合
⑨リハビリテーション実施前にすでに動悸・息切れ・胸痛のある場合
⑩座位でめまい、冷や汗、嘔気などがある場合
安静時体温が38度以上
安静時酸素飽和度(SpO2)90%以下

 

途中でリハビリを中止する場合

①中等度以上の呼吸困難、めまい、嘔気、狭心痛、頭痛、強い疲労感などが出現した場合
②脈拍が140回/分を超えた場合
③運動時収縮期血圧が40mmHg以上、または拡張期血圧が20mmHg以上上昇した場合
④頻呼吸(30回/分以上)、息切れが出現した場合
⑤運動により不整脈が増加した場合
⑥徐脈が出現した場合
⑦意識状態の悪化

 

いったんリハビリを中止し、回復を待って再開する場合

①脈拍数が運動前の30%を超えた場合。ただし2分間の安静で10%以下に戻らない時は以降のリハビリを中止するか、または極めて軽労作のものに切り替える
②脈拍が120回/分を超えた場合
③1分間10回以上の期外収縮が出現した場合
④軽い動悸、息切れが出現した場合

 

その他の注意が必要な場合

①血尿の出現
②喀痰量が増加している場合
③体重が増加している場合
④倦怠感がある場合
⑤食欲不振時・空腹時
⑥下肢の浮腫が増加している場合

 

運動中に患者がリハビリ中止基準になった時の学生の行動

リハビリ中に患者の体調が変化し、リハビリ中止基準になった時の学生の対処法をお伝えします。

どのように行動すればよいか、確認してください。

 

患者を安全な姿勢に誘導する

患者の体調の変化が合った場合、患者を安全な姿勢や場所に誘導します。

横になったほうが楽なのか?座っているほうが楽なのか?患者に聞いてどちらか選択するといいですね。

椅子に座る場合は背もたれとひじ掛けのある椅子を用意します。

 

血圧変動で横になる場合は、

  • 血圧が高い場合は「頭を上げる」(枕を高くする)
  • 血圧が低い場合は「足を上げる」(足にクッションを入れる)

などの対処をしましょう。

 

指導者に報告する

患者の体調変化が起きた場合、患者の安全を確保したらすぐに指導者に報告します。

たいてい近くにいるはずです。

「いま血圧測定をしたら上が180以上だったのですが、この後どうしたらいいですか?」

と、簡潔に報告します。

報告さえすれば学生の責任はなくなります。

 

再検査する

指導者に報告すると、おそらく「少し休憩してまた再検査してみて」と言われます。

基本的に症状が悪化しなければ、2分ほど休んだ後に再検査し、数値が正常値にもどればリハビリ継続します。

もし数値が戻らなければ再度指導者に報告し、この後の判断を仰ぎます。

 

すぐに周囲のスタッフに知らせなければならない場合

以下の症状が起きた場合、すぐに周囲のスタッフに報告してください。

指導者じゃなくてもいいです。

緊急事態なので。

  1. 患者が胸痛を訴える
  2. 患者が吐き気を訴える
  3. 患者が急に手足の痺れを訴える
  4. 患者が急激に疲労を訴える
  5. 会話が成り立たない、呂律(ろれつ)が回らない
  6. 急に唇や手足が紫色に変色した
  7. 疼痛が増悪した
  8. 異常に呼吸が変化した
  9. その他自分では手に負えない事態が発生した時

上記の場合は患者の生命の危険が伴います。

周囲スタッフにすぐに報告し、対応をしてもらいましょう。

 

実習で役立つリハビリ中止基準まとめ

  1. アンダーソン 土肥のリハビリ中止基準
  2. 日本リハビリテーション医学会の中止基準
  3. すぐに周囲のスタッフに知らせなければならない場合

これを参考に実習に臨みます。

医療現場における「リスク管理」とは、最悪の事態を想定することを目的とします。

そしてリスク管理をするということは「あなた自身の身を守ること」に繋がります。

ぜひ参考にしてください。