「骨折ってどう評価したらいいか分からない…どの分類を使ったらいいの?」
骨折の種類や分類が分からないという悩みを解決します。
骨折は臨床実習でほぼ100%経験する疾患だとおもいますが、その種類や状況は多岐にわたり学生を苦しめます。
ここでは、骨折の基礎となる「種類と分類」について学生が遭遇しやすいものをピックアップしてご紹介します。
骨折の種類と分類
骨折は大きく分けて2つの種類に分けられます。
- 骨の連続性が完全に断たれたもの:完全骨折
- 連続性が部分的に保たれているもの:不全骨折
骨折線の走行による分類
骨折線がどの方向に走っているかを分類します。
骨軸に対して
- 横向き:横骨折
- 斜向き:斜骨折
- 縦向き:縦骨折
- 捻れ様:螺旋骨折
- V型:蝶形骨折
- 3つ以上の骨片:粉砕骨折
転位の分類
骨がどのようにズレているかを分類します。
- 真横にズレる:側方転位
- 折れるようにズレる:屈曲転位
- 上下にズレる:長軸転位
- 捻るようにズレる:回旋転位
上腕骨近位部骨折【Neerの分類】
1cm以下の離開または45度以下の回旋転位のものを基本とし、この範囲を超える転位の骨片が
- 1つの場合:2part骨折
- 2つの場合:3part骨折
- 3つの場合:4part骨折
- 脱臼を合併している場合:脱臼骨折
として分類する。
上腕骨近位部骨折の可動域制限は高齢者であっても重度制限となることは少なく、ある程度の可動域があり疼痛がなければ機能障害は少なく、患者満足度も高い傾向にある。
上腕骨遠位部骨折【AO分類】
上腕骨遠位部骨折は3つのタイプに分類されます。
- 関節包外の骨折で関節内は無傷:A型
- 関節面に骨折が及ぶもの:B型
- 関節内で起こった骨折:C型
A型が軽度の骨折で、C型は重症であると言えます。
上腕骨遠位部骨折は拘縮を起こすと改善に苦労する。
拘縮が起こった場合、関節可動域の運動強度を上げるより運動時間と運動頻度を上げると良い。
橈骨・尺骨遠位端骨折【AO分類】
頭骨/遠位端骨折は3つのタイプに分類されます。
- 関節包外の骨折で関節内は無傷:A型
- 関節面に骨折が及ぶもの:B型
- 関節内で起こった骨折:C型
A型が軽度の骨折で、C型は重症であると言えます。
コーレス骨折が多いので覚えておきたい。
固定中でも積極的に肘や肩の運動を実施すべきです。
骨盤骨折【AO分類】
骨盤骨折は以下の分類で分けられます。
- 骨盤環の連続性が保たれ、安定しているるもの:A型
- 骨盤環の連続性が絶たれ、回旋の不安定性があるもの(垂直方向は安定):B型
- 骨盤環の連続性が立たれ、回旋・垂直ともに不安定性のあるもの:C型
【引用】骨盤外傷
大腿骨頸部骨折【Garden(ガーデン)分類】
- stageⅠ:不全骨折、内側で骨性連続が残存しているもの
- stageⅡ:完全嵌合(カンゴウ)骨折、軟部組織性の連続性が残存しているもの
- stageⅢ:完全骨折(骨頭回転転位)、支帯の連続性が残存しているもの
- stageⅣ:完全骨折、すべての軟部組織の連続性が絶たれたもの
stageⅠ・ⅡではCCSやCHSなどの骨接合術が選択され、stageⅢ・Ⅳでは大腿骨頭壊死の可能性が高いため人工骨頭置換術が選択されることが多いです。
出来る限り早期離床・早期荷重を心がけ、完全免荷状態でも立位保持練習は絶対に行ってほしいですね。
大腿骨転子部骨折【Evans(エバンス)分類】
- typeⅠ(安定型)
group1:転位なし
group2:転位あるが整復可能 - typeⅠ(不安定型)
group3:転位があり整復不可能
group4:粉砕骨折 - typeⅡ(不安定型):逆斜骨折
【引用】大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン (改訂第2版)
安定型ではCHSによる骨接合術が行われ、不安定型にはガンマネイルなどが実施されます。
術後は疼痛が緩和され次第、徐々に可動域運動・筋力増強運動、歩行練習を開始していくべき。
大腿骨遠位部(顆上・顆部)骨折【AO分類】
- 関節包外の骨折で関節内は無傷:A型
- 関節面に骨折が及ぶもの:B型
- 関節内で起こった骨折:C型
高齢者や粉砕骨折では固定が上手くいかず、治療に苦労するかもしれません。
術後4~6週で部分荷重、8~12週で全荷重となります。
可動域は保たれる場合が多いので、受傷前と同等の可動域を目指していきましょう。
足関節果部骨折【Lauge-Hansen分類】
- 回外-外旋骨折
- 回内-外旋骨折
- 回外-内転骨折
- 回内-外転骨折
「回外-外旋骨折」とは足部の肢位が「回外」で、下腿に対する距骨の動きが「外旋」した骨折という意味です。
可動域運動は早期に実施しますが、内外反や回旋は加えないようにします。
ここの可動域制限を残すとしゃがみ込み動作や正座ができなくなるなどのADL制限をきたします。
骨折のリハビリテーション
受傷してから1か月くらいまでを「急性期」といい、この時期から早期にリハビリをしていきます。
治癒にかかる期間は一般的に3か月~6か月かかると考えられ、骨折の箇所により期間は変わってきます。
骨折後のリハビリは、骨折部位の周りから運動を始めます。
上腕骨骨折なら「肩甲骨」や「手関節」、大腿骨骨折なら「膝関節」や「足関節」を動かすことから訓練を始めます。
そうすることで骨癒合してから本格的なリハビリを開始するとき、スムーズに運動が行えること、そして骨折部位周囲の筋力低下を防ぐことが出来ます。
まずは近位関節のROM-exや筋力強化(等尺性収縮など)を始めてみてはいかがでしょうか。
詳しい治療やエビデンスはこちらにも載せてありますのでご参照ください。
※準備中です
まとめ
理学療法学生が遭遇しやすい骨折の分類をまとめました。
- 上腕骨近位部骨折【Neerの分類】
- 上腕骨遠位部骨折【AO分類】
- 橈骨・尺骨遠位端骨折【AO分類】
- 骨盤骨折【AO分類】
- 大腿骨頸部骨折【Garden(ガーデン)分類】
- 大腿骨転子部骨折【Evans(エバンス)分類】
- 足関節果部骨折【Lauge-Hansen分類】
ぜひ参考にしてみてください。
【参考文献】