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実習で肢長・周径測定する方法とコツ

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今回は臨床実習でも使用頻度の高い「肢長・周径」のコツをお伝えします。

下肢長や周径は、メジャーを用いて5mm単位で測定しますが、正しいやり方をしないと10mm以上の差が出てしまう事もあります。

 

この記事では、肢長と周径の測定方法と、上手く測るコツをお伝えしていきます。

ぜひ実習に役立ててください。

 

▽参考文献▽

 

 

 

下肢長測定のコツ

触診

下肢長の測定箇所は、4つあります。

  1. 棘下長:上前腸骨棘→内果
  2. 転子下長:大転子→外果
  3. 大腿長:大転子→膝関節裂隙
  4. 下腿長:膝関節裂隙→外果

下肢長を正確に測定するには、これらを触診できないといけません。

では、触診のコツを分かりやすく解説します。

 

内果・外果の触診

内果と外果を触れない人はいないと思います。

くるぶしの部分で、最も盛り上がっている部分が測定ポイントです。

触診のコツは、足関節を底背屈させるとわずかに動きます。

足が浮腫んでいて触りにくい方などは、一度お試しください。

 

上前腸骨棘の触診

背臥位になって、一番突出している所が上前腸骨棘です。

まず手のひら全体で骨盤を触り、突出部を確認出来たら親指で上前腸骨棘を確認すると分かりやすいですよ。

くすぐったいので、触る強さや触り方に注意しましょう。

また、衣服もなるべく薄いものとし、必要であれば少しズボンをずらすと良いです。

もちろん、周囲の目に配慮しつつ行ってください。

 

▽動画で確認▽

 

 

大転子の触診

大転子は大きいので、測る位置によっては10~20mmも変化してしまいます。

大転子の最突出部をしっかりと触れられるかが重要となります。

 

大転子を触診するには、股関節を内外転させたり、内外旋させて大転子を確認します。

もし股関節を動かしているのに、触診部分が動いていないようだと、それは大転子ではありません。

 

▽動画で確認▽

 

関節裂隙の触診

関節裂隙は、背臥位で膝を立てて股関節を内外旋すると触診しやすくなります。

裂隙を触りながら股関節を内外旋させると、裂隙が開いたり閉じたりします。

これで分かりやすくなりますが、少し難しいのでわからなかったら指導者にアドバイスを貰いましょう。

 

測定方法

 

触診部分からなるべく手を離さない

せっかく触診に成功しても、そこから手を離すとまた触診をやり直さなければなりません。

そして、次に触診したポイントがずれてしまうことも多いので、できるだけ触診部分から手を離さないように、測定する順番には気をつけましょう。

転子果長 メモ 大腿長⇒メモ 下腿長 メモ

といった順番で測定を行うと、触診の難易度の高い大転子と外側膝関節裂隙を2回触診する必要があります。

こうなると触診による誤差が出やすくなってしまいます。

誤差を少なくするためには、極力触診の回数を少なくする必要があります。

 

例えば

  • 大転子を触診したら、そこから一気に転子果長と大腿長を測る(大転子を離さない)
  • 関節裂隙を触診したら一気に大腿長と下肢長を測る(関節裂隙を離さない)

などの工夫が必要です。

 

 

1度で2~3か所測定する

1回測るたびにメモを取ると、そのたびにまた触診が必要になります。

触診回数を減らすために、転子果長と大腿長と下肢長を測ってからメモを取る、というように複数の部位を測ってからメモを取るほうがいいです。

 

ただし、覚えられない可能性もあるので、測定したら「〇〇センチ」と声に出しましょう。

声に出すことで、記憶に残りやすくなることは研究でも明らかになっています。

 

 

下肢周径測定のコツ

下肢の周径は、「大腿周径」と「下腿周径」があります。

その前に、メジャーの使い方をお伝えします。

 

 

周径のメジャーの使い方

メジャーは絡まったり、捻れたりしないようにします。

周径の場合、強く巻きすぎると皮膚や脂肪に食い込み、通常より小さく測定されてしまいます。

逆に緩すぎるとズレてしまいます。

 

周径のコツは3つ。

  1. メジャーを少し強く巻きます。皮膚に軽く食い込む程度です。
  2. そこから少し緩めます。
  3. すると、皮膚の弾力で強く巻いたメジャーが戻されます。

そこが測定のポイントです。

 

こちらの動画の「2分8秒」「2分27秒」でこの技術を使っています。

ぜひ参考にしてみてください。

 

大腿周径

大腿周径は、膝蓋骨から上前腸骨棘に向かって4か所測定します。

  • 膝蓋骨上縁
  • 5cm上
  • 10cm上
  • 15cm上

なぜこのポイントを測るか?というとこんな理由からです。

 

測定位置 目的
膝蓋骨上縁 膝関節周囲の腫脹
※内側広筋の状態
5cm
10cm ※内側・外側広筋の状態
15cm ※大腿全体の状態

※「状態」とは、筋委縮や腫脹のことを差します。必ずしも「委縮」のみを検討するものではありませんのでご注意ください。

「委縮」を見るというサイトも見かけますが、それは間違いであり、もっと多面的に評価する必要があります。

 

大腿周径を測定する際に最も誤差が生じやすいのは、膝蓋骨上縁から5cm・10cm・15cmの位置関係です。

これを間違えると周径が大きく変化してしまいます。

5cm・10cm・15cmの位置をマーキングした上で、メジャーで周径を測定するわけです。

 

測定位置はマーキングしておくと便利です。

ペンで患者の体にマーキングするのもどうかと思うので、シールなどを活用します。

測定後に剥がし忘れの内容に注意してください。

このシールは肢長周径はもちろん、FRTやステップ練習の目印、点繋ぎ(TAT)にも使えるのであると便利です。

 

下腿周径

下腿周径は2箇所測定します。

  • 最大膨隆部
  • 最小膨隆部

下腿は前面から見ると、膨隆具合がよく分かりません。

なので横から見ることをおすすめします。

 

また、下腿が完全に床についていると筋腹が横に広がってしまうので、膝を軽く曲げた状態での測定が望ましいです。

▽動画で確認▽

 

まとめ:肢長・周径を測定する方法と上手く測るコツ

【肢長のコツ】

  1. 触診を丁寧にする
  2. 触診部分からなるべく手を離さない
  3. 1回ずつメモを取らず、2~3か所ごとにメモを取る

 

【周径のコツ】

  1. メジャーの使い方を理解する
  2. 測定位置にマーキングする

 

肢長・周径は臨床実習でもよく使われます。

コツを掴んで、スムーズに評価できるように練習してください。