理学療法士の人気が急上昇中です。
平成18年には、8000人程度しかPTを目指していなかったのに、平成27年には12000人を突破しました。
そして2023年現在は、理学療法士の総数は22万人を超えています。
そんな大人気の職業ですが、実際にどのような仕事をするのかを理解して学校に来ている人は少ないのではないでしょうか?
- ケガを治す人
- リハビリをする人
- マッサージをする人
いろいろな思想があると思いますが、PTとは何なのか?を解説していきたいと思います。
意外と知らない理学療法士の定義とは
理学療法士とは「身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行なわせ、及び電気刺激、マッサージ、温熱その他の物理的手段を加えることをいう」と定義されています。
基本的動作能力の回復を図る、というのが重要で、理学療法士は『基本動作のスペシャリスト』ということになります。
動作とは
- 寝る
- 横になる
- 起き上がる
- 立つ
- 歩く
といった動作の過程を指します。
これを専門用語で『体位変換(たいいへんかん)』と言います。要は自分の姿勢を変更する時に起こる動作の事です。
我々理学療法士は、そのスペシャリストという事になります。
動作にスペシャリストが必要なのですか?ただ起きるだけなのに?
はい。
世の中には病気や怪我でその『体位変換』がスムーズに行えない人が沢山います。
また、体位変換ができてもその動作が雑で、体の一部に負担がかかっている場合もあります。
そのような人達に対し『体位変換ができるように、または体位変換をより簡単にできるように』サポートするのが我々の仕事なのです。
でもリハビリ中に痛い所を伝えてリハビリしてもらったら良くなりました。
動作指導だけでなく、なんで痛みも取るのですか?
その動作(例えば立ち上がり)が出来なかった場合、その立てない原因が筋肉の強さである!と評価されれば、我々は、筋力トレーニングをします。
立てない理由が膝の痛みである!と評価されれば、我々は痛みを取る工夫をするわけです。
ですので、『痛いから治す』のでなく『動作の遂行に痛みが邪魔だから痛みを取る』と、いうのが正解ですね。
もっと言うと、私たちは痛みの原因を根本的に解決したわけではありません。
痛みの出ないような動き方、筋の収縮方法を伝えたに過ぎません。
理学療法士の仕事は動作指導
先ほど申し上げたように、メインの仕事は『体位変換をスムーズに実施させること』。
それにより『日常生活をより円滑に遂行するために動作指導をする』ことです。
あとは最も楽な動き方を指導したりします。
よく腰痛の方が床に物を落としたときに体を曲げるようにして(膝を伸ばしたまま)拾ってはいけません。と指導します。
膝を曲げてしゃがみ込むようにして拾った方が、腰に負担が少ないからです。
このようにその人の身体状況や疼痛状況を確認し、動作の指導をするのも我々の仕事なのです。
また、安全に、かつスムーズに生活させるためには、生活環境の改善もしていきます。
- ベッドを導入
- 手すりを付ける
- 装具制作の依頼
- 杖などの使い方指導
- 家族への介助指導
細かい仕事も多いのですが、メインは患者さんの日常生活をより豊かにさせるために行っています。
ですので、その対象者は基本的には高齢者が多いです。
スポーツ系のリハに憧れて入ってくる人も多いのですが、実際にスポーツ外傷の患者さんはほとんどいません。
勤める病院によって変わるのですが、私がいままで整形外科で4年、一般病院で5年仕事をしてきた中で、スポーツ外傷の方は全体の1%程度しかいません。
ですので、理学療法士はあくまで『ケガや病気をした高齢者』を相手に仕事をする職業と考えてください。
現在は、スポーツ系の病院で働いていますので、高校球児やテニスプレーヤーなどのリハビリもしていますよ。
もしスポーツ系を目指すのであれば、急性期病院(手術をその病院で行っている)や、スポーツ整形外科に特化した病院で働くことをおすすめします。
理学療法士になるためにはどうしたらよい?
理学療法士になるためには専門学校や大学に入ってカリキュラムを学ばなければなりません。
カリキュラムは運動学・解剖学・生理学など全部で30項目以上あります。
それを全て指定された単位数を獲得し、学校を卒業できると判断された場合に国家試験の受験資格が得られるのです。
学校に通う理由は『国家試験を受験できる権利を得るため』なのです。
だから卒業できない人は国家試験を受けることができないので、必然的に『留年』か『退学』を余儀なくされます。
理学療法士を目指す学校で適当に授業をサボったりすると、後でエラい目に合います。
私がいた専門学校も、無断欠勤には非常に厳しくて、無断欠勤した次の日には教員室に呼び出されますからね。
まぁこれは実際に就職したときに無断欠勤しなように専門学校側で徹底するという目的もありそうですが、主に卒業させる単位を獲得させる為に行っていることです。
理学療法士になるメリット
ここで理学療法士になる方がいいよ!というアナウンスを少ししていこうと思います。
とはいえ、全員に勧められる仕事ではないのですが…
病院で働ける!
同級生から『どこで働いてるの?』と聞かれて『○○病院』と答えると、大体が『おー』みたいな反応をしてきます。
それが地域で比較的大きな病院であればなおさらです。
何科?と聞かれても、『リハビリテーション科』と答えられるので、あまり医療関係に詳しくない人には食いつきが良いです。
理学療法士や作業療法士の資格を持ってなくても、病院でリハビリ助手として働けますが、給料は少ないし、患者さんに触れないのでリハビリテーション科でしっかりと働くにはPT・OT・STの免許は必須と言えます。
絶対に就職できる!
理学療法士が就職の面接に出向けば、今の所落とされる心配はほぼ無いです。
たとえ落ちても、面接3回以内にほぼ100%受かるのではないでしょうか。
私は6か所受けて全て内定をもらっていました。
最近は有名大学を卒業見込みでも、1次面接とかでヒーヒー言ってるのに、我々は、面接をするだけでほぼ受かります。
これは非常に大きなメリットだと思いますよ。
転職が簡単!
理学療法士の免許を持っていれば、引っ越しなどをしても比較的容易に転職できます。
転職サイトにでも登録すれば、1時間で20件くらい求人のメールが来るレベルです。
しかも面接に行けばほぼ合格。
今のところ、転職の難易度で言えば理学療法士はかなり有利です。
社会的信用が高い!
理学療法士は国家資格なので、一般的な同年代に比べ社会的な信用が高いです。
だから家や車のローンも組みやすいです。
一般的な企業に勤めている5年目の男性に比べ病院に勤めている5年目の男性のほうが多くローンを組めます。
今は不景気ですから、普通の人は2000万円くらいしか貸してもらえないかもしれませんが国家資格を持つ理学療法士は3000万円近く、もしくはそれ以上借りられます。
これは、社会的な信用が理学療法士にはあるから、といえますね。
だからクルマのローンも通りやすく、少し無理をすればちょっとした高級外車なら普通にローンが通ると思います。
でも無理は良くないのでほどほどにしましょう。
理学療法士を目指してみよう!
以上、理学療法士についてまとめました。
理学療法士は、ただ痛みを取ったり、マッサージをするだけではないということがなんとなく理解して頂ければ幸いです。
今まで理学療法士を知らなかった人も、これから目指そうとするひとも少し興味を持ってくれればいいなとおもいます。
せっかく理学療法士を目指しているので、勉強や実習を頑張ってぜひ国家資格を取ってみてください!