最初に患者さんにアプローチするときは今でも緊張するものです。
通常、理学療法士が患者さんにファストコンタクトする前にいろいろな情報収集をします。
この情報収集がうまく行くと、今後の患者さんとの信頼関係がスムーズに築けたり、退院する時期が早まったりします。
今回はその『初対面の相手に会う前にやるべきこと5つ』を紹介してみましょう。
リハビリ前に集める5つの情報収集事項
患者さんのサマリーを確認してから対応する
患者さんに出会ってから実施する評価を『初期評価』と言います。
しかし、その前に情報を収集する必要があります。
それは、患者がこの病院に入院することが決まって、ソーシャルワーカーから送られてくる前病院からのサマリーです。
急性期の場合は、入院時データを確認しましょう。
この情報には
- 氏名
- 疾患名
- 障害名
- 年齢
- 現病歴
- 他部門情報
が含まれ、全て『患者さんが入院してくる前、もしくは入院してすぐ』に収集できる情報です。
この情報をすでに知っていて患者さんに会いに行くのと、全く知らないで行くのでは相手が受ける印象が異なります。
患者や、患者家族は入院前にこのような情報提供をしているから、ここに入院してきているのです。
そのせっかく与えた情報を、理学療法士が把握していなかったらどう思いますか?
再度説明するのは二度手間ですし、そんな情報も確認していないのか?と、信頼関係の構築に障害ができてしまいます。
ですので、この初回情報はしっかりと確認し、患者のもとへ向かいましょう。
他部門情報を集める
今度は他部門へ情報をもらいに行きましょう。情報収集する部門は
- 他院からの申し送り
- カルテ、ナース情報
- ソーシャルワーカー情報
の3つです。
これらの情報を、どんなことでもよいので集めておく必要があります。
その情報がその後の情報収集に生きてきます。
他院からの申し送りを確認する
私はまず患者さんの
- 疾患名
- 現病歴
- 既往歴
- 家族構成
といった情報をカルテや診療報告書・リハビリテーション依頼書で確認し、患者さんのイメージを作ります。
例えば
外傷性硬膜下血腫 Ope後1週間 経管栄養と書かれていれば、あぁ、重篤な患者なのかな。と思いますし
多発性脳梗塞 保存療法 ナースコール可 オムツ対応と書かれていれば、動けないけど認知機能はしっかりしている。
と判断できます。
そして医師からの指示、処方を確認し、リハビリテーションにおいて求められていることを予測・確認します。
ここである程度の患者のQOLを確認しておきます。
どのようにすれば家に帰れるのか…。それが最も大切ですからね。
カルテ、ナース情報を確認する
他院からの情報からなんとなくイメージができたら、次はカルテや看護師からのデータを集めます。
基本的に患者に最初に会うのはナースと医者ですし、最初に立てなければならないのは医師の治療プランとナースの看護プランです。
その情報を聞き出し、今後の治療に役立てると同時に『他部門との進む道筋を統一化』させます。
ソーシャルワーカーからの情報
ソーシャルワーカーは当院に入院をお勧めしてくれる方々なので、最も初期の情報収集できています。
住所や氏名、年齢、家族構成、入院歴など様々な情報をもたらしてくれます。
家族ととても密につながっている情報ですので、必ず確認しましょう。
ファストコンタクトで集めた情報を使おう
患者さんと顔を合わせる時は、何度繰り返しても初めては緊張します。
でも、それは患者さんも同じです。
我々が『どんな患者かな?』と思うように、向こうも『どんな先生かな?』と不安に思っているはずです。
ですのでこちらからは基本的に笑顔で入ること、心も身体も柔らかく、穏やかに話しかけるよう気を付けています。
当然、目線も合わせ、ゆっくり丁寧に話すようにしましょう。
そして、ここでも情報収集をします。どんな情報を得られるか、どんな情報を得るかは人によって異なります。
さて、先ほど集めた情報がいくつかありますよね。
- サマリーの確認
- 他部門情報の確認
- 他院からの申し送りの確認
- カルテ、ナース情報の確認
- ソーシャルワーカーからの情報の確認
ここで集めた情報をもとに、患者の認知機能を確認しましょう。
自分の名前・年齢は言えるか、どこでケガをしたか、前いた病院はどこか、自分のケガの診断名を分かっているか…などです。
おそらく患者さん以外から集めた情報のほうが信頼性は高いでしょう。
その情報を利用し、現時点での患者さんの認知機能を調べます。
そして、収集した情報を違う回答をされた場合は、その患者さんの認知機能の低下を疑う理由になります。
そういった事にも、この情報収集は役に立てるのです。
さいごに:考える事は家族ファーストで!
情報収集は初回評価でのみ実施すれば良いわけではありません。
介入しながらも常に方針の修正やより良い介入に向けて考え行動していきます。
患者さんの為に。と、よく言いますけど、私の考えは少し違います。
患者さんの家族の為に。
それを忘れずに介入を継続していけたらよいと考えています。